近年、透明性の高い人材採用を目指す企業が増え、リファレンスチェックを採用プロセスに加える企業も増えており、特に外資系企業の約6割がリファレンスチェックを実施しています。
リファレンスチェックとは、内定者の過去の勤務態度や能力、人間関係などについて、前職の上司や同僚から情報を得ること。内定者にとっては、過去の行動や結果が即座に評価される大切なステップとなりますので、どのような過程を経て、どのような点が評価されるのかを理解しておくことが大切です。
今回は、採用に関わるリファレンスチェックの重要性や質問内容などを詳しく解説します。
【目次】
リファレンスチェックとは? 内定者が知っておくべき基礎知識
リファレンスチェックとは
リファレンスチェックは、求職者の職務経歴や能力、人間性を前職の上司や先輩から確認するプロセス。採用を検討している候補者について、実際の評判や実績を把握することで、履歴書や面接だけでは見えにくい側面を知ることができます。企業側にとって、内定者とのマッチングをより深く把握することで、採用後のトラブルの予防や効果的なチーム編成を行う手助けにもなりますし、内定者自身が過去の職務経験を振り返り、自己評価を再考する機会にもなるでしょう。
内定者に求められる期待とは
採用を検討している内定者には、経験やスキルだけではなく、企業文化に適合しチームに貢献できる人物であることが求められます。つまり、専門的な能力の高さと共に、コミュニケーション能力や協調性など、人間性に関わる側面が大きなポイントとなるのです。リファレンスチェックによって、内定者の資質や、過去の行動パターンを確認することで、企業はチームに馴染む人材であるかどうかを評価し、長きにわたって貢献してくれる人物であるかを見極めているのです。
リファレンスチェックのプロセス
・実施される時期
内定後~就業開始前にかけて実施されることが多いようですが、企業によっては選考中に行うケースもあります。
・リファレンス先について
内定者(求職者)がリファレンス先を紹介するケースと、採用する企業がリファレンス先を探すケースがあり、内定者(求職者)がリファレンス先を紹介する場合は、前職/現職の上司・先輩などに依頼するのが一般的です。
採用する企業でリファレンス先を探す場合、専門の調査会社に委託するケースや転職エージェントに依頼することが多いようです。
・リファレンスチェックの流れ
内定者が準備すべきリファレンスチェック対策とは
採用が最終的に確定する前のリファレンスチェック。この段階で企業側は、内定者の職務経歴や人間性を確認し、採用の最終的な判断をします。そのため、内定者はリファレンスチェックに向けて適切な対策を講じることがとても重要です。ここでは、リファレンスチェックに関しての事前準備や、よくある質問などについて解説していきます。
リファレンス提供者の選び方と事前準備
リファレンスチェックでは、リファレンス先、つまり推薦者の選定が重要なポイントとなります。内定者は自身のキャリアや人柄を適切に代弁してくれる、信頼のおける人物を選ぶことが大切です。過去に指導してくれた上司や、同じ仕事を手掛けた先輩、クライアントのプロジェクトメンバーなどがよいでしょう。
また、提供者には事前に連絡をして、自身のリファレンス提供の依頼をしておかなくてはなりません。何のためにリファレンスが必要なのか、どのような質問がされるかを想定できるような情報を与え、可能な範囲で対策を講じてもらうことが望まれます。この時のコミュニケーションが、より有益な情報を提供する手助けにもなります。
リファレンスチェックでよくある質問
リファレンスチェックでは大きく分けて「勤務状況」「業務関連」「人間性」について質問されることが多いのでポイントとして押さえておきましょう。
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勤務について
・在籍期間や過去の職務経歴・役職について△△の内容と相違ないですか?
・○○さんの勤務意欲や働き方について、簡単に教えて下さい。
・勤務態度や休暇の取得、残業時間など勤務状況はいかがでしたか?
業務関連/業績について
・○○さんの主な業務実績を教えて下さい。
・業務のなかで○○さんは何が得意だと感じたか、改善した方が良い点などがありましたら教えて下さい。
・○○さんが担当されていたのはどのような業務でしたか?
・同じプロジェクトのメンバーとしてまた一緒に働きたいと感じますか?
人間性/コミュニケーションについて
・上司や同僚の方とのコミュニケーションに問題はありませんでしたか?
・チームや同じ部署で仕事をするとき、円滑に仕事を進められていましたか?
・決断力や問題解決能力に優れている方でしたか?
・仕事への責任感が強い方ですか?
・○○様(リファレンス提供者)から見た、○○さんの長所・短所を教えて下さい。
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内定者がリファレンスチェックで好印象を残すコツ
リファレンスチェックにおいて、内定者が好印象を残すためには正直さと一貫性がカギとなります。そのため、自身が伝えている内容とリファレンス提供者が証言する内容に整合性がなくてはなりません。
可能であれば、応募している企業の情報も含めて、事前にリファレンス提供者と打ち合わせをしておくとよいでしょう。リファレンスチェックを受ける前に、可能性のある質問に対する回答を用意し、シミュレーションを行うことはとても有益です。これらの準備をすることで、内定者は自身の答えに自信を持つようになり、リファレンス提供者も、より詳細でポジティブな情報を採用企業に伝えることができるようになります。また、練習を通じて発見した自分自身の弱点に対しては、しっかりと対応策を考えておきましょう。
リファレンスチェックについての疑問点
・リファレンスチェックで内定取り消しになることは?
経歴詐称が判明した場合は、内定が取り消される可能性があります。応募先に提出する職務経歴書など、書類の記載には十分に注意をしましょう。
・リファレンスチェックで現在の職場に転職活動をしていることが伝わってしまうのでは?
求職者の同意なしでリファレンスチェックを行うことは一般的にはありませんので、自分の知らないところで転職活動が現職先に伝わってしまうことはありません。
こうした事情により、現在の職場にリファレンスチェックの協力を依頼できない場合は、前々職の企業関係者に協力を要請するか、転職希望先の企業に正直に事情を説明しましょう。ただし可能な限りは受けた方が、信頼関係を崩さずに転職を進められます。
・採用担当者が外国人の場合、リファレンス提供者は日本人でよい?
外資系企業への転職では、採用担当者が外国人であることも少なくありません。そうした場合、担当者が日本語を話せないといったケースがあるので、リファレンス提供者として紹介する人には、可能な限りビジネスレベルで英語が話せる人を選びましょう。
英語に苦手意識のある上司や先輩に依頼をすると、相手の負担も大きく、スムーズに対応してもらえない可能性もあります。
現在では、グローバル人材の採用時に英語でリファレンスチェックができるオンラインサービス等もあり、利用者も増加しているようです。
まとめ
今回は、採用に関わるリファレンスチェックの重要性や質問内容などを詳しく解説しました。採用後のミスマッチを未然に防ぐためにも、内定者自身がリファレンスチェックの主旨を理解し、自己の強みや弱みを把握しておくことが重要です。また、参考になる意見や指摘があった場合には、それをもとに、より良い働き方や改善点を見つける機会と考え、職場に入る前の準備として活用していきましょう。
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