はじめに
2026年のクリエイティブ、マーケティング、デジタル人材の採用市場は、成長基調にあります。
でも“欲しい人”には、相変わらず出会えない。そんな感覚はありませんか?
国内では政権交代による景気回復への期待が企業の採用意欲を後押しする一方で、米国の雇用情勢の不安定さが日本国内に影を落とす懸念もあります。
こうした複雑な状況下で、採用の現場では今、何を見極め、何を変えるべきなのでしょうか。最新情勢を踏まえた「2026年採用成功へのヒント」を分かりやすく解説します。
人材需要の変化
企業の人材採用数の見通し
2026年は中途採用が増加する一方で、派遣社員は「横ばい」と明暗が分かれる見通し
中途採用では、AI導入を見据えた「組織能力のアップデート」が急務となっています。定型業務がAIに代替される一方で、業務フローを再構築できる高度な専門人材は決定的に不足しており、獲得競争が激化しています。
外資系企業を中心に採用を絞る動きもありますが、言語や専門性など、スキル軸で高い報酬を提示する「スキルベース採用」への転換が鮮明です。雇用の流動化も進み、外部から即戦力を調達する中途採用は、今や企業の成長に欠かせないエンジンです。
対して派遣社員は、AIによる定型業務の自動化という減少要因と、正社員の採用難を補うための需要増加が相殺し合い、市場全体としては横ばいで推移することが予想されます。
職種別のニーズの増減
DX推進が加速する中、多くの事業会社が中途採用を強化しており、エンジニア不足を背景に技術と顧客接点の橋渡しを担う人材の需要が急増しています。
特にデジタル施策を牽引するフロントエンドデベロッパーの給与が増加しており、UXデザインやプロダクトデザインなどの領域も顕著な伸びを示しています。この傾向は、企業がいかに高いコストを払ってでもデジタル専門人材を求めているかを物語っています。
今後は開発スキルだけでなく、ビジネスの課題を解決へと導く、より戦略的でユーザー視点を持ったクリエイティブ職種の価値がさらに高まっていくでしょう。
成長を遂げているデジタル職種や、近年注目を集めているAI関連の新たな職種の給与動向については、近日公開予定の「2026年版給与ガイド」にて詳しくご紹介する予定です。これからのキャリアや採用戦略のヒントが詰まった内容となっておりますので、ぜひ楽しみにお待ちください。
オフィス回帰とリモート志向のミスマッチ
現在、企業のオフィス回帰の動きと、デジタル・クリエイティブ人材が求めるリモート志向の間で、深刻なミスマッチが生じています。
企業側がオフィス回帰を進める背景には、対面による迅速な意思決定やイノベーションの創出、社内文化の醸成といった、組織力強化への狙いがあります。実際に、当社で扱ったリモートワークの求人数も昨年対比で3%減となるなど、採用枠の絞り込みや厳選採用の動きが見て取れます。特にグローバル本社主導で出社の義務化が進む外資系企業では、その傾向が顕著に表れています。
しかし、柔軟な働き方を重視する専門職にとって、フル出社への回帰は強い抵抗感を生んでいます。その結果、高度なスキルを持つ人材ほど、リモート環境の整った企業へ流出する離職リスクが高まっており、企業にとっては採用難に拍車がかかるという、厳しい状況に直面しています。
優秀なクリエイティブ・マーケティング人材を採用するために
激化する人材獲得競争のなかで、優秀な人材の確保・定着、そして次世代を担うスキルの育成に向けて、独自の革新的な取り組みを開始している企業が増えています。
例えば、某食品メーカーでは、「健康経営」を軸とした職場づくりとインナーブランディング に注力。24時間無料で利用できるフィットネスジムを完備したり、社員や派遣社員はもちろん、外部の一般客も利用できるオープンな社員食堂兼レストランを設置しています。
これらの施設は、雇用形態を問わず誰もが等しく利用でき、組織の垣根を越えた交流の場となっています。リモートワークについても雇用形態に関わらず柔軟に活用できる体制を整えていて、「フラットでひらかれた社風」を体現する独自の取り組みを前面に打ち出すことで、多様な人材の採用促進と、高い定着率を実現しています。
また、他の事例をあげると、あるIT企業では、組織規模やブランド認知の課題解決に向け、採用と事業広報を兼ねたイベントをオンライン・オフラインで定期開催。情報発信も強化しており、役員によるメディア連載や、オウンドメディアでの社員インタビューを通じて働く現場のリアルを届けています。
さらに、インハウスのデザインスタジオを設立し、デザイン単体での受注拡大に伴いクリエイティブチームを組織化しました。これにより、デジタルからプロダクトまで幅広い領域のデザイナーを惹きつける体制を構築。自社のクリエイティブ力を対外的にアピールする強力な拠点として機能させています。
これらの取り組みの他にも、採用において自社ならではのルールを大切にしている企業もあります。
ある情報サービスプロバイダでは、「共感」が生まれない関係性では、採用後の定着の成功にはつながらないという考えのもと、人材と自社のバリューの整合性に重きを置いて採用を行なっています。この評価を確実に行うために『バリュー面接』を取り入れるなどして、他部署の人員も加え、しっかり見極める意識を共有しているそうです。
また、リファラル採用に注力している点も特徴です。価値観の合う人材を紹介し合う好循環が生まれており、結果として高い定着率を実現しています。
まとめ
2026年の採用市場は、経済情勢の波やAIの進化、そして働き方の変化が複雑に絡み合う、まさに転換点とも言える状況にあります。
中途採用市場が活発化する一方で、求められる人材の「質」はかつてないほど高まっています。特にクリエイティブ、デジタル、マーケティング領域における専門人材の確保は、企業の成長を左右する最重要課題です。しかし、給与水準の引き上げや高度なスキルの追求、あるいはオフィス回帰といった一方的な施策だけでは、価値観が多様化したプロフェッショナル層を惹きつけることは難しくなっています。
これからの採用成功に必要なのは、AIなどのテクノロジーを駆使したプロセスの効率化と、それによって生まれた時間で行う人間味のある関係構築の両立。自社の文化を独自の言葉で語り、雇用形態を問わず一人ひとりが健やかに成長できる環境を整えること。そうした真摯な姿勢こそが、競合との差別化を生み、優秀な人材に選ばれるための最大の武器となるのではないでしょうか 。
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