UXの分野は超スピードで成長、進化しています。デジタル製品に対するユーザーの期待はますます高まり、企業は模範的なユーザー体験を提供することに注力しなければならない時代です。一言で言えば、UXデザイナーのスキルアップは今までになく重要です。
今回は、エイクエントのLearning Directorとして、トップUXデザイナーたちとの長年の経験に基づき、あなたのUXスキルセットに加えるべきスキルをシンプルに説明します。1)プロフェッショナルとしての5つの重要なスキル領域を整理し、2)エイクエントの無料学習プラットフォーム、Gymnasium(英語)で提供している無料のスキルトレーニングや他の学習サイトやブログ記事を紹介します。
【目次】
・UXは「テクノロジー」だけではない
・スキル #1 ビジネス感覚
・ビジネス感覚を磨く
・スキル #2 ストーリーテリング
・ストーリーテリングスキルを磨く
・スキル #3 ユーザーリサーチ
・ユーザーリサーチスキルを磨く
・スキル #4 プロトタイピング
・プロトタイピングスキルを磨く
・スキル #5 テクニカル
・テクニカルスキルを磨く
UXは「テクノロジー」だけではない
まず最初に、UXデザイナーのあなたに良いニュースです。給与の中央値はUSでは$95,000で、世界中に見てもUXは素晴らしいキャリアの選択肢です!
Appleのようなデザイン先進企業の成功や、ここ3~4年のスタートアップ文化のおかげで、優れたデザイン、プロトタイピング、ユーザーリサーチ、UXは企業の競争優位に必要だとの考えが定着しました。
とはいえ、安心ばかりではいけません。フィールドはどんどん変化していくので、その変化スピードについていけるかどうか。AR、VRや会話型インターフェイスなど、まったく新しいデザイン分野が開発・進化しています。このような新しいテクノロジーには、ハイレベルなUXデザイナーの持つクリエイティブな問題解決力が求められています。
UXブートキャンプを卒業したばかりのジュニアデザイナーと話すと、彼らにとってUXは、消費者向けのクールなアプリを作るために、たくさんのテクノロジーを使いこなすことだと言います。なぜなら、そう教えられてきたからです。しかし、熟練したUXプロフェッショナルには、全体像を把握し、あらゆる場面でユーザーを擁護するための他のスキルが必要です。ビジネスセンス、ユーザーリサーチ、ストーリーテリング、プロトタイピングのスキルなどです。そして、技術的なノウハウも少々。
スキル #1 ビジネス感覚
少し前までは、アプリやウェブサイトの制作に携わるUXデザイナーは、ワイヤーフレームを作成したり、Photoshopでモックアップを作ったりしていました。それを開発会社に投げて、作ってもらうという流れでした。
しかし、そのような単独でのサイロは消えつつあります。ビジネスにおけるデザインの価値が認識され、デザインチームがテーブル(ビジネスを左右するミーティングの場)につくようになると、期待される役割が大きくなったのです。
その変化により、UXデザイナーによりビジネスセンスが求められるようになりました。
UXのビジネスセンスには、ビジネスの目標、その目標が組織に与える影響、プロジェクトに必要な人材、そして社内政治などを総合して理解することが含まれます。
例を挙げてみていきましょう: あなたは電力会社に勤めており、10,000個以上の機械用品の在庫を管理できるインターフェースのデザインをサポートするプロジェクトをおこなっています。
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顧客: エンジニアと営業担当者。この2つのグループは在庫管理を必要としているが、ユーザーニーズは異なる
抱えている悩み:ユーザー調査により、サポートチケットのクローズまでの時間の長さが共通の課題であることが判明
推定される節約額:チケットのクローズ時間を24時間以内に短縮することで、年間50万ドルの経費削減が見込まれる
社内政治: 会社の惰性。非常に忙しい営業チームやエンジニアチームと会う必要があり、彼らは貴重な時間を無駄にされたくないと思っている
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プロジェクト達成のためには、エンジニアとセールスチームのリードに、このプロジェクトをサポートしてくれるよう説得する必要があります。そして、このプロジェクトが、彼らの忙しいチームにとっても、大幅な時間短縮につながることを明確にしてあげることが必要です。
これは、技術や戦術的なスキルを必要とするものではありません。クリティカルシンキングとコミュニケーションスキルが必要なのです。
ビジネス感覚を磨く
UXプロジェクトを見る練習をする:
- 全体像とその中での自分の位置づけ
会社の主なビジネス目標は何でしょうか?
ヒント:それは通常、収益です。だから、あなたがやっていることをその目標に結びつけましょう。 - ステークホルダーにとって大切なことは何か?
UXパーソンとして、あなたは人々を説得してプロジェクトをサポートする必要があります。そのため、ステークホルダーのニーズを理解することが必要です。 - 真のユーザーニーズ
プロジェクトを成功させるために最も重要な貢献は、ユーザーを擁護することです。そのためには、主要な製品ユーザーと一緒に時間を過ごし、インタビューすることで、彼らにとって何が重要で、製品が彼らにどのように役立つかを理解することです。
スキル #2 ストーリーテリング
ビジネスの世界では、あなた自身やプロジェクトについて説得力のあるストーリーを作り、その作品が理解、評価してもらうためにそのストーリーを語れることは、説得の技術として必要なスキルです。口頭でのプレゼンテーション、プレゼンテーション資料、UXライティングのために、ストーリーテリングのスキルを身につけましょう。
プロジェクトについて語るストーリーは、ビジネスの背景とユーザーのニーズを結びつけ、ソリューションがその両方にどのような効果を及ぼすかを示すものです。説得力のあるストーリーを語るには、証拠とデータを提示する必要がありますが、箇条書きのスライドではなく、あなたが取り組んでいるプロジェクトが、ビジネスとユーザーに価値を提供していく、という明確で論理的な結論に向かってストーリーを構築してください。
Gymnasiumの講師であるLee Andreseは、「デザイナーのためのストーリーテリング」という講座の中で、あるシニアUXデザイナーを例に挙げています。彼は、豊富な経験を積んでいるにもかかわらず、自分が望むようなプロジェクト(報酬)を得ることができませんでした。
そこで、自分の仕事が利益に与える影響についてデータを収集し、そのデータをストーリー化し、それを語る練習をアドバイザーと一緒にしたことで、初めて自分のキャリアを軌道に乗せることができたのです。これらのステップの結果、彼の時給は数ヶ月のうちに1時間あたり60ドルから90ドルに跳ね上がりました。
ユーザーに対しても同じアプローチをすることで、プロジェクトでユーザーエクスペリエンスのベストプラクティスを支持する仲間を得ることに苦労することはない、と講師のLeeは話しています。
ストーリーテリングスキルを磨く
ストーリーテリングスキルを向上させるためにおすすめの講座を紹介します:
Gymnasium Take 5 series のキャリアスキル編
Writing for Web and Mobile – Gymnasium
相手を引き込むストーリーテリング 良い話し手になる7つのコツ – Forbes
デジタルデザインにストーリーテリングを活用する7つのヒント – アドビUX道場
講座だけでなく、毎日の仕事の中で、ストーリーテリングを実践しましょう。具体的には、人前で話す、チームへのプレゼンから始めること、そしてプレゼンテーションデザインも大事な要素です。
スキル #3 ユーザーリサーチ
ユーザーリサーチでは、デザイン対象である人々を理解することができます。心理学者や人類学者は、人々の行動、反応、ニーズ、欲求に焦点を当てるため、素晴らしいUXプロフェッショナルになることができます。
よくできたユーザーリサーチは、常により有効なデータになります。多くの人は、特別な道具や会場が必要だと考え、敬遠しているようですが、実際は5分以内に多くのことができるのです。インタビュー対象者を製品のプロトタイプの前に座らせ、目標を与え、それをどのように使うかについて話し始めてもらうのです。
ユーザーリサーチスキルを磨く
おすすめの講座・記事を紹介します:
UX FUNDAMENTALS – Gymnasium
Designing for Real People webinar – Gymnasium
UXリサーチの代表的な7つの手法とは?UXリサーチ未経験者必見 – ポップインサイト
スキル #4 プロトタイピング
1つのプロトタイプがすべてのシナリオに適合するわけではないことは想像できるかと思います。どのタイプを使うかは、良い悪いではなく、対象者や目的によって異なります。つまり、目の前の仕事に適したプロトタイプを作成する必要があるのです。
例えば、クライアントのビジネスを獲得するためにプロトタイプを作成するとしましょう。ここではクライアントをワクワクさせることが目標なので、スケッチのような白黒のワイヤーフレームを提示するのは避けたいところです。このシナリオであなたがデザインするプロトタイプは、装飾が施された素晴らしいデザインのものになるはずです。
しかし、仕事を獲得した後、開発者向けのプロトタイプは、より実物に沿ったものが必要です。以前はUXデザイナーは、クライアント向けの華やかなプロトタイプを、実際の製品を作るために開発者にも送っていました。今はこれでは失敗に終わってしまいます。あなたがしたいことは、ゼロから始めて素早く構築することです。クライアントに見せるためのものではなく、実用的なプロトタイプを作れる必要があります。
プロトタイプには多くのレベルがあります。どのプロトタイプを選ぶかは、忠実度に基づいて、あなたがやっていることの適切なレベルに適合させる必要があります。レベルは、低忠実度のプロトタイプ(骨組みのないスケッチ的なワイヤーフレーム)から、高忠実度のインタラクティブ・プロトタイプ(本物とほとんど見分けがつかないもの)まで、さまざまです。忠実度のレベルは連続したもので、どちらか一方だけというわけではありません。目の前のタスクに適したレベルの忠実度を使用する必要があります。
プロトタイピングスキルを磨く
プロトタイピングスキルを向上させるためのおすすめ:
Prototyping for Digital Products and Websites – Gymnasium
Prototyping Tutorials – Gymnasium
UX Design: Prototyping As Process – Gymnasium
プロトタイプとは?機能的なUXへの道 – UXPin
スキル #5 テクニカル
テクノロジーは重要ですが、一般的にはキャリアアップのために最初に焦点を当てるべき分野ではありません。UXデザインに使用されるツールは、同時に業界内で現在流行しているベストなプラクティスを反映しています。たとえば、デザイン・ツールのFigmaは、より優れたチーム・コラボレーション・ツールの必要性を予測し、その結果、かつての王者であったSketchからユーザーを引き離しました。もちろん、Sketchも応えてくれるでしょうし、まだ諦めてはいけないでしょう。
テクニカルスキルに影響を与えるキーとなるトレンドは、デザインパターンの使用です。組織に入ってデザインをする場合、ボタンの色、ロゴの配置、フォームのテンプレートなど、ビジュアルデザインの多くはすでにパターンが決められています。そのデザインシステムやパターンを使って、ユーザーフローやユーザーエクスペリエンスを考えることがUXデザイナーやプロダクトデザイナーの仕事です。トップクラスのデザインシステムを理解し、あなたは素早く反復し、どのチームともより全体的に仕事をすることができるようになります。
あなたは、プロジェクトに貢献するメンバーの一人です。プロジェクトに参加するチームメンバーや関連するテクノロジーを理解し、ユーザーのためにより良い貢献をする必要があります。それに加え、コーディングの知識や16進数のカラーシステムなど、ウェブの基本的な知識も多少は必要です。ビジネスセンスの一部であるチームスキルと、基本的なテクニカルスキルを融合させるだけで、驚くほど多くの成功を収めることができるでしょう。
また、デザインブートキャンプなどテクニカルスキルを鍛えてきたジュニアUXデザイナーはどうでしょうか? 彼らの優れた技術力とあなたのリーダーシップや経験を組み合わせれば、UXデザインの最先端を行く無敵のチームを構築することができます。
テクニカルスキルを磨く
テクニカルスキルを向上させるためにおすすめなサイト:
Working With Atomic Design and Pattern Lab – Gymnasium
Learning Figma – Figma
Adobe XD tutorials – Adobe
“UX “の中にある “U (You) “を持とう
UXの分野で進化していくために必要なスキルは、他の多くの職種と同様、戦術的・技術的なスキルは後回しにされ、より経営に近いビジネススキルやソフトスキルが重視されるようになりました。ユーザー、行動、目標を理解し、その知識を使って、最高のユーザー体験を提唱し、説得することです。以上の5つで自分の適性を確認し、スキルアップの機会を活用することで、将来のイノベーション、クリエイティブ、リーダーシップの機会に向けてUXスキルを維持することができます。