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【2026年10月派遣法改正】同一労働同一賃金で変わる派遣雇用

By: Aquent

~クリエイティブ・マーケティング人材の採用・定着を成功させるポイントを解説〜
LAST UPDATED: 2026/09/28


2026年10月1日、労働者派遣法施行規則や、同一労働同一賃金ガイドライン、派遣元・派遣先指針の一部改正が施行されます。
今回の法改正は、派遣労働者の待遇改善と公正な評価の徹底を通じて、派遣社員の働く環境を根本から底上げすることを明確な目的としています。

しかし、制作会社やコンサルティング会社、事業会社のマーケティング部門といったクリエイティブ・マーケティング領域では、職種特有の事情から、対応に悩むケースも予想されます。

そこで今回は、派遣先企業の担当者や現場の受入責任者の方に向けて、クリエイティブ領域特有の現場のリスクと、企業が押さえておきたい具体的な対応策についてわかりやすく解説します。

【目次】
同一労働同一賃金改正のポイント
・① 派遣労働者に対する説明義務の改善
・② ガイドラインの明確化(不合理な待遇差の解消)
・③ 公正な評価と派遣料金・施設利用への配慮(派遣先の協力強化)
クリエイティブ・マーケティング職ならではの注意点
派遣社員が自らスキルアップや業務拡大を望む場合はどう対応すべき?
・業務の幅を広げる前に派遣元へ事前相談を行う
・役割の変更に合わせて適正な派遣料金・賃金の改定を行う
・専門エージェンシーを介してキャリア成長のロードマップを共有する
法改正に対応するための具体的な解決策
・業務記述書(ジョブディスクリプション)の明確化
・派遣元への定期的なフィードバックと評価連携
現場の負担を抑えて体制を整えるポイント

同一労働同一賃金改正のポイント

同一労働者同一賃金改正のポイントを図表にまとめたもの

2026年10月1日施行の改正では、派遣労働者がより一層安心して意欲的に働ける環境を整えるため、主に以下の3つの軸で運用が強化されます。

① 派遣労働者に対する説明義務の改善

雇入れ時や派遣時の明示書面に、派遣労働者は派遣元に対して待遇の相違(内容・理由)に関する説明を求めることができる旨の記載が義務化されます。派遣労働者から求めがあった場合、派遣元は口頭説明に加えてわかりやすく理解できる資料を交付・閲覧させるなど、誠実で明確な情報開示を行う必要があります。

補足:派遣社員の待遇決定方式には労使協定方式と派遣先均等・均衡方式の2つがあり、説明内容にも若干の違いが生じます。
「労使協定方式」では、同種の一般労働者の賃金水準や協定に基づく公正な評価結果について説明を行います。一方、「派遣先均等・均衡方式」の場合、派遣先の正社員と比較して、なぜこの時給設定になっているのかといった個別の具体的な理由や実施基準の提示を求められることがあります。このように、自社がどちらの方式を採用しているかによって派遣社員へ提示する情報の視点が異なる点も押さえておきたいポイントです。

② ガイドラインの明確化(不合理な待遇差の解消)

賞与や退職手当、住宅手当、病気休職・休暇、各種手当(無事故手当・家族手当など)、福利厚生施設などの運用基準がより明確化されました。正社員と同一の業務や継続勤務が見込まれる派遣労働者に対し、不合理な差を設けることが禁止されます。

③ 公正な評価と派遣料金・施設利用への配慮(派遣先の協力強化)

派遣元が公正な評価や適切な賃金決定を行うためには、派遣先企業の理解と協力が欠かせません。適正な派遣料金に向けた対話や、福利厚生施設などの利用に関する配慮、業務遂行状況に関する適切な情報提供など、受け入れ側としての協力姿勢が求められるようになります。

▼2026年10月改正の詳細についてはこちら
参照:厚生労働省「派遣労働者の同一労働同一賃金改正ポイントのご案内」

クリエイティブ・マーケティング職ならではの注意点

クリエイティブ職の派遣社員が派遣先でUIデザインの業務に関わる様子

クリエイティブやマーケティングの現場では、他職種に比べて業務境界が曖昧になりやすいという特徴があります。この役割分担の不透明さこそが、今回の法改正において注意すべきリスク要因となります。

例えば、Webデザイナーとして派遣社員を受け入れたものの、現場の制作ディレクターやプロジェクトマネージャーが明確な仕様書を作成せず、「雰囲気に合わせて良い感じにデザインを作成してほしい」といった抽象的な指示を出しているケースは少なくありません。作業を進めるうちに、派遣社員が本来の契約範囲を超えて、ワイヤーフレームの策定や企画構成、さらにはクライアントとの調整業務までなし崩し的に担当させられているという事態が発生します。

同様のケースはマーケティング職種でも多く見られます。データ入力や集計作業の補助として就業している派遣社員が、実質的に広告運用の調整や改善案の立案、施策の戦略策定まで手掛けているような状況です。
このような状態で派遣社員から、正社員と同等の企画・ディレクション業務を担っているのに、一派遣社員の時給にとどまっているのはなぜかと説明請求がなされた場合、派遣先企業は正当な理由を回答することができなくなります。

クリエイティブ業務の成果や能力は、作業量だけでなく質やセンス、ビジネスへの貢献度といった定性的な要素に依存しやすい傾向があります。そのため、あらかじめ業務の責任範囲と求められるスキル水準を定めておかなければ、正社員との違いを論理的に証明することが困難となり、同一労働同一賃金の観点からトラブルへ発展する危険性が高まります。

派遣社員が自らスキルアップや業務拡大を望む場合はどう対応すべき?

派遣社員のデザイナーが派遣先企業でデザインに取り組む様子

ここでひとつの疑問が浮かびます。トラブルを防ぐために、派遣社員には契約範囲外のチャレンジを一切させてはいけないのか?という点です。

実際、クリエイティブやマーケティングの現場で働く派遣社員の中には、もっと上流のディレクションに挑戦したい、案件を通して新しいツールや施策のスキルを身につけたい。と、意欲的に業務の幅を広げたいと望む方も多くいらっしゃいます。
こうした成長意欲を契約外だから、と一律に制限してしまうのは企業にとっても働くスタッフにとっても大変もったいないことです。

そこで、派遣社員の挑戦とスキルアップを後押ししながら、法令を正しく順守するためのベストな対応策を考えてみましょう。

業務の幅を広げる前に派遣元へ事前相談を行う

新しい業務を任せたり役割を広げたりしたい場合は、実際に指示を出す前に「今後このような業務任せていきたい」といった内容を、事前に派遣元へご相談いただくことをおすすめします。あらかじめ任せたい仕事内容や期待する責任範囲を共有していただくことで、契約記述の適切な変更や単価調整などの準備をスムーズに進めることができ、後々のトラブルを未然に防ぐことができます。

役割の変更に合わせて適正な派遣料金・賃金の改定を行う

業務の難易度や責任が上がった分、派遣元と連携して適正な単価・賃金改定を反映させます。成果や貢献度に応じた待遇改善がなされることで、派遣社員のエンゲージメントとモチベーションも高まります。

専門エージェンシーを介してキャリア成長のロードマップを共有する

どのような成果を出せば、単価アップや高度な業務への移行など、次のステップに進めるかという基準を、派遣元・派遣先・派遣社員の三者で事前に目線合わせしておきます。

クリエイティブ業務の成果や能力は、作業量だけでなく、企画力やセンス、ビジネスへの貢献度といった定性的な要素に大きく左右されます。だからこそ、派遣社員の頑張りや挑戦をあやふやにせず、成長に合わせて契約と待遇を正しくアップデートしていく仕組みを作ることが大切です。

派遣スタッフの成果や挑戦を正しく評価し、気持ちよく働ける環境を整えること。それが、これからの時代に優秀なクリエイティブ人材から選ばれる企業なのではないでしょうか。

法改正に対応するための具体的な解決策

派遣社員と、派遣元の担当者が業務内容について相談している様子

2026年10月の法改正をスムーズに乗り越え、派遣社員のパフォーマンスを最大化させるためには、企業側で明確な業務管理プロセスを構築する必要があります。

業務記述書(ジョブディスクリプション)の明確化

派遣契約を結ぶ段階で業務記述書をより詳しく具体的にすることです。
Web制作業務全般といった大まかな記載ではなく、どこまでが派遣社員の担当領域であり、どこからが正社員やディレクターの責任範囲であるかを具体的に文書化します。

Webデザイナーであれば、バナーや既存テンプレートに基づくページ制作のみを担当するオペレーション領域なのか、デザインコンセプトの立案からUI/UX設計までを行う企画・設計領域なのかなど、マーケターであれば、言われた通りの数値を集計・レポート化する領域なのか、自ら仮説を立てて運用施策を変更する領域なのかを言語化します。
責任範囲を明文化しておくことで、派遣社員自身も自らの役割を正確に認識でき、待遇差を感じる原因を排除できるでしょう。

派遣元への定期的なフィードバックと評価連携

現場での業務遂行状況や貢献度を、定期的に派遣元へフィードバックする評価連携の仕組み化することが大切です。
派遣先指針の改定に伴い、派遣先企業には現場での評価情報を派遣元と共有することが求められています。
定例の面談や月次の評価シートを活用し、派遣社員が契約通りの業務をこなしているか、あるいは契約以上の高度な業務を遂行しているかを定量・定性の両面から正確に伝えます。現場での良好なパフォーマンスが派遣元に正しく伝わることで、適正な昇給や時給改定への反映が可能となり、派遣社員のモチベーション向上と長期的な定着につながります。業務内容に変更が生じた際も、フィードバックを通じてスムーズに契約内容の見直しや単価調整へ移行できるようになります。

現場の負担を抑えて体制を整えるポイント

ここまで挙げた対応策を自社のみで完結させるには、労務知識だけでなくマーケティングやクリエイティブ実務に対する深い理解が必要となり、現場の管理者に一定の負担がかかる場合があります。
自社内での整理が難しい場合には、契約設計の初期段階から外部の専門家や、該当職種の業務実態・市場相場に詳しい専門知識を持つ人材エージェンシーの知見を借りることも一つの選択肢です。専門的な視点を取り入れることで、職種構造を踏まえた適正な業務定義や単価設定をスムーズに進めやすくなるでしょう。

クリエイティブ・マーケティング人材の採用や、法令に沿った適切な契約・評価制度の設計でお悩みの企業様は、お気軽に当社専門エージェントへご相談ください。

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