BXデザイナーは、ブランドエクスペリエンスの設計と最適化を行うプロフェッショナル。ブランド体験を通じてユーザーと深い関係を構築し、企業価値を高めることを目指します。
今回は、多くの企業で活躍するBXデザイナーの働き方や年収事情、さらに、UX・CXデザイナーとの違いについても解説していきます。
【目次】
BXデザイナーの働き方
BXデザイナーとは
BXデザイナーとは、ブランドエクスペリエンス、つまりブランド体験をデザインする専門家のことです。彼らは、ブランドがユーザーにどう感じられるか、どんな印象を与えるかを考え、全体的な体験をデザインします。この役割には、視覚的なデザインだけでなく、ユーザーの心理や行動を深く理解することが求められます。BXデザイナーは、ユーザーがブランドとの接触を通じて感じるすべての経験を包括的に設計することで、ブランドの価値を最大化します。また、企業が持つ目標やビジョンに応じて、ブランド体験を戦略的に組み立てることも求められます。これにより、ブランドの認知度や価値を向上させることが可能になるのです。
BXデザイナーの具体的な役割と業務内容
BXデザイナーの主な業務は、ブランド体験に関するコンセプトの設計、ユーザーリサーチの実施、そしてデザインのプロトタイピング、ブランド及びVI(ビジュアル・アイデンティティ)の開発と管理・改善など多岐にわたります。まず、ブランド体験全体を考える際に、ユーザーがどのようにブランドと関わり、どのような体験をするかのコンセプトを策定し、ユーザーリサーチと分析を行います。この情報をもとに、ブランド体験を最適化するための戦略を立てます。その後、デザインのプロトタイピングを行い、実際のユーザー体験をシミュレーションし、その結果を踏まえてアウトプットを開発します。
業務を進めるにあたっては、他のデザインチームやマーケティングチームとの連携が欠かせません。継続的な改善とフィードバックを受け入れることで、統一感のあるブランド体験を提供可能とし、また、それを進化させていくことができるのです。
必要なスキルと資格
BXデザイナーに求められるスキルとして、デザインの知識、ユーザーリサーチの技術、コミュニケーション能力、そして課題解決能力が挙げられます。まず、デザインの知識として、色彩理論やレイアウト、タイポグラフィなどの基本知識、ユーザーリサーチの技術としては、アンケートやインタビュー、観察手法を駆使してデータを集める能力が求められます。さらに、コミュニケーション能力も非常に重要で、多くのチームやクライアントと協力するため、明確で効果的に情報を伝えることも必要となってきます。資格については、必須の資格はありませんが、UXデザインやマーケティングに関する資格が役立ちます。これにより、理論と実践の両方で専門的な知識を持ち、ブランド体験の設計に活かすことができるでしょう。
BXデザイナーの年収
一般的に、BXデザイナーの年収は、企業の規模や業界の種類によって異なることがあります。例えば、IT企業やスタートアップ企業では、初年度から比較的高い年収を得られることが多く、その一方で伝統的な製造業やサービス業では、初任給が低い場合も少なくありません。
国内全体の平均を考えると、BXデザイナーの年収は約700万円から約900万円です。(※本給与は2023年〜2024年、日本において当社が人材紹介を行なったBXデザイナーの正社員登用時のデータに基づいて算出されています)
さらに、高度な専門知識や管理職としてのスキルがある場合は、報酬も相応に高くなります。経験を積むことで、年収も一貫して上昇することが期待できるでしょう。
他のデザイナー職との比較
デザイナー職の種類は多岐にわたります。視覚的な要素を用いてメッセージを伝えるグラフィックデザイナー。ユーザーインターフェイスの設計に特化しているUIデザイナー。また、インダストリアルデザイナーは、製品そのものの形や使い勝手を設計します。このように、異なる専門性を持ち、それぞれの分野で独自の役割を果たしているのです。
ここでは、BXデザイナーとよく比較されるUXデザイナー・CXデザイナーとの違いについて解説していきます。
UXデザイナーとの比較
BXとUXの違い
BX(ブランド体験)とUX(ユーザー体験)は、それぞれ異なるアプローチを持ちながらも、最終的には同じ目標を目指しています。BXは、企業や製品のブランド価値を高めることを目的とし、UXはユーザーの操作性や満足度に焦点を当てるものです。それぞれ異なる視点から設計され、その結果も異なります。
ブランド体験(BX)は、購入前から購入後までの全ての接触点において、顧客にブランドの価値や魅力を感じさせることを目的としています。これは、広告、パッケージ、カスタマーサービスなど、広範囲にわたります。一方、ユーザー体験(UX)は、製品やサービスの使いやすさ、機能性、満足度を高めるためのものです。そのため、UXは主にデジタルプロダクトにおいて重要視されるのです。
BXは、ブランドの継続性や一貫性を強調し、長期的な信頼関係を築くための戦略であり、顧客の感情や共感を引き出すことに重点を置きます。それに対して、UXはユーザーが直面する具体的な課題や問題解決を中心に考えられています。これにより、短期的ながらも高い満足度を提供することを目指します。
ブランド体験とユーザー体験の違い
BXとUXは、どちらも顧客満足度を高めることを目的としていますが、そのアプローチと焦点が異なるため、使い分けが重要です。企業の戦略に応じて、BXとUXを適切に組み合わせることが求められます。
CXデザイナーとの比較
BXとCXの違い
BX(ブランド体験)とCX(顧客体験)は、企業にとって非常に重要な概念ですが、それぞれ異なる役割と目的を持っています。BXはブランドの価値やメッセージを強調し、一貫したイメージを作り上げることに重点を置いています。それに対して、CXは顧客が企業と接触するすべての点においての体験を最適化し、顧客満足度を高めることを目指します。両者は相互補完的であり、企業の成功には欠かせない要素です。
ブランド体験と顧客体験の違い
BXはブランドそのものに焦点を当て、ブランドの認知度や信頼感を高めることに力を注ぎます。具体的には、ロゴ、キャッチフレーズ、広告などを通じてブランドイメージを強化します。一貫性が求められるため、すべてのコミュニケーションはブランドの核心を反映している必要があります。それに対し、CXは顧客が商品やサービスを利用する際の全体的な満足感に着目します。顧客が接触するすべてのポイント、例えばカスタマーサポートやオンラインストアの使い勝手が重要です。これにより、顧客がブランドに対してポジティブな体験を持ち、リピート客になる可能性が高まります。
目指すゴールの違い
BXが目指すゴールは、ブランド認知度や価値の向上です。そのため、広範なマーケティング戦略やブランディング活動が必須です。一方で、CXの目標は顧客満足度の向上であり、リピーターを増やすことです。具体的には、迅速かつ親切なサポートを提供し、顧客の期待を超えるサービスを提供することです。これらの活動は、実際の顧客行動に直接影響を与えるため、企業全体での取り組みが求められます。両者とも異なる視点から企業の成長をサポートしていることが分かります。
BXデザイナーのキャリアパスと成長
「BXデザイナー」は、企業を理解し、それをストーリー化していく職種。言い換えるとブランドに触れることによってもたらす体験をデザインする職業です。
ファーストキャリアで積んだ経験を活かし、「グラフィックデザイナー」「UI/UXデザイナー」から「BXデザイナー」へ転身される方も増えてきています。
また、マーケティングやプロモーション、カスタマーサポートなどの設計に取り組んだ経験を活かし、「CXデザイナー」から「BXデザイナー」への転身を考える方もいらっしゃいます。
さらに、「BXデザイナー」の次のステップとして、戦略方面に進み「ブランドストラテジスト」「ブランドコンサルタント」になる、もしくは、クリエイティブ全体を統括するよう「クリエイティブディレクター」を目指していくことなどが考えられます。
自律性と柔軟性を高め、多様なキャリアの選択をしていきましょう。
キャリアパスについてのご相談はエイクエントまで。あなたのキャリアプランに合ったご提案をさせていただきます。
まとめ
今回は、多くの企業で活躍するBXデザイナーの働き方や年収、他のデザイナー職との違いについて解説しました。
多くの企業がブランド価値を高めるため、専門知識を持つデザイナーを求めるようになってきています。そのため、BXデザイナーの求人市場は、非常に動きのある分野。特にデジタルマーケティングが盛んになるにつれ、その需要は増えています。このような求人市場の動向を理解し、柔軟に対応することで、BXデザイナーとしてのキャリアをさらに広げることができるでしょう。BXデザイナーの転職、キャリア相談などはエイクエントまでお気軽にお問い合わせください。
こちらの記事もおすすめ
Related.
AI時代のキャリアと組織をデザインする
AI, Design, DIGITALKS, UX, Webinar
忘れられないブランド体験をデザインする方法
Branding, BX, Design, UI, UX
これからのUXデザイナーに求められるもの~利便性に優れたプロトタイピングツール5選について徹底解説!
UX