インハウスのクリエイティブエージェンシーは、今、足踏み状態を続けているところが多いようです。喩えれば マーケティングとクリエイティブへの要求のペース、幅、規模は、かつてないほど加速しています。インハウスエージェンシー(IHA)は、これまで以上に多くのチャネルに多くのコンテンツを迅速に制作する必要があります。スピード感を楽しんでいる人がいる一方で、次々とやってくる依頼をこなしながら、日々を過ごしている人もいます。
では、成功しているインハウスのマーケティングやクリエイティブエージェンシーは、何が違うのでしょうか。それはコンテンツの需要に追いつくためだけでなく、その需要を先取りするために作られたものであるか、です。
【目次】
・入ってくるリクエストにいちいち翻弄されてはいけない
・より大きな影響を与えるために、計画的に行動する
・プランニング・ドリブンになるためのプランニング
入ってくるリクエストにいちいち翻弄されてはいけない
多くのIHAは、次から次にやってくるプロジェクトとリクエストの緊急度合いに応じて、絶えず対応しているような、リアクティブな存在です。このようなリクエストは、ワークフローやそれに伴うスタッフの配置を決定する要因になります。リクエストが続けば、そのサイクルは続きます。そして、緊急度の高いと決められたプロジェクトが、必ずしもあなたのチームが取り組むべきものであるとは限りません。
リクエストに応じて仕事に取り組んでしまうと、どんどん遅れをとってしまいます。というのも、現実にはまだまだやるべきことがあるからです。
チームが真にクリエイティブな仕事をするために必要なホワイトスペースや、チームが切望する戦略的な仕事を獲得するためのスペースも与えられないことが多々あります。最大のインパクトを生み出す仕事に集中するのではなく、応急処置を探していることになってしまいます。問題を解決しているわけではなく…。
より大きな影響を与えるために、計画的に行動する
最も先進的でインパクトのあるインハウスエージェンシーは、リクエスト主導型から企画主導型に転換しています。このような変革は、組織の成熟度合いにかかわらず、すべてのIHAの目標であるべきです。
企画主導のアプローチで、ステークホルダーや社内顧客との関係を構築し、より早い段階から上流工程に携わるようにします。彼らの優先順位、目標、ニーズを理解することで、社内チームの優先順位と仕事の計画にこれらすべてを組み込むことができ、本当にやりたい仕事を特定し、殺到するコンテンツ要求に反応的に操作することをやめることができます。
この移行は困難なものですが、適切な役割とサポートプロセスを持つことで、チームを成功に導くことができます。例えば、Lumen Technologyのインハウスエージェンシーが約3年前にプランニング主導になったとき、プロジェクトマネージャーと協調して働くキャンペーンマネージャーを新たに選定しました。そのキャンペーンマネージャーは、ビジネスとのミーティング、プロダクトマーケティングやコミュニケーションパートナーとの対話を担当します。キャンペーン・マネージャーは、次のような質問をします:
- 最優先のプロジェクトは何か?
- 立ち上げるものは?
- 製品ロードマップやこれから登場するものに、どのようにすべてを合わせるか?
- 作業内容は?
- 重要なインプットは何か?マーケティングが引き出そうとしている主な成果や行動は何か?
この新しいチーム体制と仕事の進め方が、Lumenの企画主導を可能にしました。キャンペーンマネージャーは、ビジネスパートナーと合意したSOW(Scope of Work / 作業範囲)を確立するために活動します。そして、それを実現するために何をすべきかを考え、実行計画を立てるのがプロジェクトマネージャーです。
プランニング・ドリブンになるためのプランニング
Lumenは、IHAのニーズだけでなく、ビジネスのニーズにも最適なソリューションを作ることができました。では、解決方法はこれしかないのでしょうか?そんなことはありません。このような変化は、一夜にして起こったのでしょうか?もちろん、そうではありません。あなたのビジネスニーズに合わせて、独自のソリューションがあるはずです。そして、何が有効で何が無効かを見極めるには、時間がかかるでしょう。
私たちのクライアントであるChick-Fil-A社は、1年以上かけて彼らが必要とするソリューションを考え出しました。それは、クリエイティブチームはより戦略的な業務や優先順位に集中できるよう、総合デザインプロダクションセンターを設立したことです。
IHA のリーダーたちは、送られてくるリクエストに左右されることなく、企画主導のクリエイティブな業務を支援するチーム構造とプロセスを開発することで、コンテンツに対する需要の増加に対応しながら、チームが生き残るだけでなく、成功するための支援をすることができます。