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2026年上半期 人材採用トレンド

By: Aquent

~人材エージェントが語る、AI時代の作品選考と正しい採用基準~
LAST UPDATED: 2026/05/27

AIがクリエイティブやマーケティング領域で活用されるようになり、求められる人材像も大きく変化しています。

これまでは、自身の技術力が重視されてきましたが、現場で実際に成果を生み出すためには、それだけでは不十分だという認識が広がっています。今後は、発想の柔軟さや多様な経験に加え、AIを活用した制作力など、従来の採用基準だけでは見抜けない特性が必要とされます。

そこで今回は、当社のエージェントのヒアリング調査をもとに、これからのAI人材像に求められる具体的な能力や、その背景にある採用基準の変化について考えていきましょう。

採用市場の変化:求人票にAIが表記されるように

企業の求人票(募集要項)に、AIのスキルや経験が必須条件として書かれ始めた時期には、業界や企業規模によっていくつかの段階がありました。

企業の経営課題を解決するコンサルティング会社や、大手の広告代理店、デザイン制作会社では早くからAIを使った制作プロセスの効率化や、日常業務での日常的なAI活用を条件に掲げ始めました。その後、ゲーム制作会社やインターネット企業の制作部門、そして一般の事業会社へと、この動きが一気に広がっていきました。現在では、多くのクリエイティブ職の求人においてAIをツールとして使いこなし、成果物を作れることが当たり前の条件になりつつあります。

クリエイティブの制作現場や広告代理店では、すでにAIの活用が最大の武器になっています。実際に、提案競争において、AIを活用することで制作コストを大幅に削り、なおかつハイスピードで大量のアイデアを提案した企業が成功し、従来通りのやり方で提案した企業が選ばれなかったという象徴的な事例も増えています。

その一方で、国内、特に大手の事業会社や、伝統的なIT企業などでは、セキュリティや個人情報保護のルール、また社内のシステム環境整備に時間を要することから、実際の業務でどう使っていくかを今まさに検討している段階のところも少なくありません。

クリエイティブ職種別・これから必須となるAI活用スキル

担当者がタブレットを使用してAIを活用している様子

現在、それぞれの職種に求められているのは、AIツールの操作が早いことではありません。
どこに課題があり、どのAIを組み合わせて、どう業務を効率化するかを自分で組み立てられる力が重視されています。

ここで具体的に主要な職種で求められるスキルをみていきましょう。

デザイナー・アートディレクター(クリエイティブ制作の担当者)

画像生成ツールを日常的に使いこなすことはもちろん、AIが作った大量の画像の中からどれが本当に優れているか、どれがクライアントの求める基準を満たしているかを正しく判断する高い審美眼(クオリティを見極める目)が求められます。

また、打ち合わせや企画の初期段階で、頭の中にあるイメージをAIを使って一瞬でビジュアル化し、チーム内での認識のズレをなくすスキルが重要です。
AIに任せっきりにするのではなく、AIには作れない独自の世界観や、企業のブランドらしさを最終的に自分の手で表現できることが必須となります。

コピーライター・ディレクター(文章や企画の担当者)

文章作成AIに対して、意図通りの質の高い回答を引き出すための的確な指示(プロンプトと呼ばれる指示文)を出せる能力が必要です。

AIは一瞬で何百ものアイデアやキャッチコピーを作ることができますが、その中には事実と異なる情報 や、表現として不自然なものが混ざることも少なくありません。
そのため、大量の候補から良いものを選び出し、人間の手で正しく直す編集・推敲力が何より重要になります。

これにより、読み手やユーザーの心に刺さる言葉をこれまでの数倍のスピードで生み出すことが可能になります。

マーケター・マーケティングストラテジスト(市場分析や戦略の担当者)

日々の業務の中にAIを組み込み、音声・画像・動画など、それぞれの課題に対して最も適したAIツールを 自ら選んで組み合わせる設計力が求められます。
会社から与えられたツールを使うだけでなく、常に世の中の新しいAIの情報を自分で集め、試してみる柔軟性と行動力が大切です。

そして、AIが出してきた分析データを鵜呑みにせず、そのデータの背景にある市場の動きや顧客の心理を読み解き、次のビジネス戦略を立てる力が期待されています。

AIを使いこなす人材を面接で見極める評価基準

採用面接の様子。人事担当者と応募者が向かい合って話をしている。

今の時代、AIを使えば見栄えの良いポートフォリオや、もっともらしい文章は誰でも簡単 に作ることができます。そのため、採用担当者は成果物を見るだけでなく、その作品を作るために、本人がどう考えてAIを使ったのかという目利き力を持つ必要があります。

書類・作品選考での注意点

作品だけを見て合否を決めるのは避けた方がよいでしょう。
例として、作品のどこからどこまでをAIが作り、どこからを自分が修正して仕上げたのか、その境界線が分からないケースです。これを見過ごしてしまうと、入社後に、実際には本人のスキルが足りなかったというミスマッチが起きてしまいます。

逆に評価すべきなのは、その作品を作るために、どのような意図でAIに指示を出し、 どう効率化を図ったかという思考のプロセスが言葉で丁寧に説明されているケースです。
最先端のクリエイターの中には、作品集の中に生成AIを組み込み、ポートフォリオに含まれている項目の詳細に関して採用担当者が直に質問できるようにするなど、思考プロセスを可視化する工夫をしている方もいます。

面接で投げかけたほうがよい質問

面接では、業務におけるAI活用の経験・範囲だけでなく、応募者の考える力と主体性を確かめるために、以下のような質問をすることをおすすめします。

【質問1】「この作品を作る際、AIに任せた部分と、ご自身が手を動かして修正・こだわりを入れた部分の境界線はどこにありますか?」

→この質問により、AIに丸投げしているだけなのか、それとも自分の表現を豊かにするための道具としてコ ントロールできているのかを判断できます。

【質問2】「AIから思い通りの結果が出なかったり、質の低いアウトプットが出てきたりした時、どのように指示を変えて軌道修正をしましたか?」

→AIは万能ではないため、エラーや的外れな回答が返ってくることがよくあります。
その際に、指示文をどう工夫したか、あるいは途中で手作業に切り替えたかなど、現場での臨機応変な対応力や問題解決力が見えてきます。

【質問3】「日々の生活やこれまでの仕事の中で、新しいAIの情報をどのようにキャッチアップし、試していますか?」

→AIの進化は非常に早いため、いま特定のツールが使えることよりも、新しいものに興味を持って自分から学び続ける成長意欲や変化への対応力があるかどうかが、入社後の活躍を左右します。

先進企業における社内での育成・教育の動き

PCの前でリーダー的女性が、部下の男性2人に操作を教えている様子

AIが使える人材を外から採用するだけでなく、いま社内にいる社員を育てるリスキリングに力を入れる企業も増加しており、実際に以下のようなユニークな教育プログラムが始まっています。

ある制作会社では、自社専用のAIツールを開発し、全社員が1ヶ月ほどで使いこなせるようにするためのオンライン動画教材を用意して、自主学習を促しています。また、別のデザイン会社では、情報漏えいや著作権のトラブルを防ぐための安全な使い方(ガバナンス教育)に力を入れています。このツールは商業利用しても安全だが、あのツールは権利関係に注意が必要といったルールを動画にまとめ、外部の専門家を呼んで定期的に講義を行っています。

さらに先進的な取り組みとして、文系・理系や職種を問わず、人事や総務といったバックオフィスの社員も含めて全員にAIを使って簡単なアプリを自作させるという研修を行う企業もあります。座学で知識を学ぶだけでなく、実際に手を動かして何かを作ってみることで、会社全体のデジタルリテラシーを底上げしています。

その他にも、社内に専門の委員会を立ち上げ、エンジニア向けと一般社員向けに分けて段階の社内資格を設け、成功事例を全社で共有している企業もあります。

まとめ

今後の採用市場において、企業の採用担当者が知っておくべき重要な事実。それは、求職者側も、企業のAIへの取り組み方をシビアに見ているという点です。

実際にあった事例として、最新のテクノロジー環境で働いていた優秀な人材が、ある企業の面接を進める中で、その企業ではAIの基本的な機能しか使えず、業務を劇的に効率化するための最新ツールが一部の人にしか支給されていないという実態を知り、環境の遅れを理由に内定を辞退してしまったというケースがあります。

日々の決まった作業をAIで素早くこなしてほしいという派遣スタッフの採用と、中長期的に業務の進め方そのものをAI前提で新しく変えてほしいという正社員の採用では、求めるレベルは異なります。
しかし共通しているのは、AIを自由に使える環境が整っていない企業は、優秀なクリエイターやマーケターから選ばれなくなるという未来がすでに始まっているということです。

AI操作ができる人を漠然と探すのではなく、自社の今の環境を正直に伝えながら、面接を通じて求職者の考えるプロセスや、言葉で説明する力を丁寧に見極めること。
これこそが、これからの時代に優秀な人材を獲得し、組織を成長させていくための最大のポイントとなるでしょう。

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