サードパーティクッキー って何? 廃止されると広告のリマーケティングできなくなるの? 個人情報保護法改正でデジタル広告はますます嫌われる? デジタルマーケターがこれから個人情報を正しく上手に使うには?
今回は、「データプライバシーコンサルティング」というサービスを提供する株式会社データサインでマーケティングをされている宮崎洋史さんに、【サードパーティクッキー廃止とデジタルマーケティングへの影響】をテーマにお話を伺いました。
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サードパーティクッキーって何?
— サードパーティクッキーってなんですか?
その前にまずクッキーが何かって言うと、ブラウザが持っているテキスト情報なんですね。それを自分がアクセスしたいろんなサーバーとかに送ったりしてます。
ユーザーはネットなんて当たり前のように使ってるんだけど、ほぼ意識しないよね、「今俺のブラウザどっかにクッキー送ってる」なんて。そんなのわからないけどバンバン送ってるわけですよ。
で、サードパーティクッキーは何かって言うと、今自分が見ているウェブサイト以外のところに送っているクッキーをサードパーティクッキーって呼びます。自分が見ているウェブサイトに送っているクッキーはファーストパーティクッキーですね。
— 最近よくウェブサイトでポップアップ表示がされている、「当サイトはクッキーを使用します。同意しますか?」みたいな、あれのことですよね、クッキーって?
まあそうですね。あそこで目にすることが多いんじゃないかなと思います。
そもそもクッキーって何してるかって、先ほどテキスト情報って言ったんですけど、まあテキストって言ったって小説が書かれているわけじゃないですよねその中に(笑)
大体普通の人が見ても意味を持たない文字列が書いてあるんですよ。それは識別子って言われているんですけど、話を簡単にすると、ブラウザーを特定するためにその識別子がクッキーとして送られています。で、その識別子を広告主が使っているんですけど、その識別子が(サードパーティクッキー廃止により)使えなくなっちゃう。
例えば今車のサイトを見ているとして、識別子で「これは車に興味がある人だな」ってわかるんです。で、その人が他の例えばニュースサイトなんかに行くと、そこのサイト主は「あ、きたぞ。この識別子は車に興味がある人だから車の広告だそう」とか(推測)できるんですけど、それができなくなる。
誰が来たのか分からないから、テキトーな広告が表示されるようになると思います。
デジタル広告への影響
— ユーザーの側からみても不便になりますよね。全く関係ない広告が表示されちゃうかもしれないと
そうなんですよね。ただあんまり関係ある広告が出てきてもそれはウザいって人もいるし、全然関係ない広告が出てきてもそれもウザいって人もいるし。どうなんですかね。
— 私30代なんで、「30代独身女性へ!」とか書いている婚活サイトとかよくネット広告出てくるんですけど、確かにまあターゲットとしては合っているんだけどうんざりしたりしますね
そうそう(笑)それはなくなるかもしれないけど、じゃあ50代男性向けの、なんだ、髪が生えてくる薬とかの広告が出てきてもそれ私に関係ないやって感じで。
— それもそうですね
だからそういう自分の個人情報を使われたターゲティングはされなくなるけど、ただ自分が今見ている記事やサイトとかそういうのに関係した広告はこれからも表示されるんだろうね。
プライバシーサンドボックス
— ユーザー視点に立つと、個人情報を保護してもらえるのは良い気がするんですけど、クッキーがブラウザでの行動履歴を保存していることで利便性が上がることもあるかと思っていて。
例えばショッピングサイトのカートの内容が一旦サイトから離れて戻ってきても残っていたりとか。サードパーティが廃止されたとして、ユーザー側でさらに良くなること、逆によくなくなっちゃうことはありますか?
よくなくなっちゃうことはやっぱり自分に関係ない広告を目にすることが増える。Chromeがサードパーティクッキーに対応しなくなっちゃうわけですよ。そうすると自分にできることってあんまりないんじゃないかなと思います。
ただGoogleはクッキーを使わないターゲティングの方法を考えていて、プライバシーサンドボックスっていうんですけど、広告主とかメディアも、そのプライバシーサンドボックスに対応した広告配信をすれば、ユーザーからみてそんな的外れな広告は出なくなると思います。
— プライバシーサンドボックスって何ですか?名前だけしか聞いたことがなくてよく分からないのですが
私も隅まで把握しているわけではないですが、非常に簡単にサードパーティクッキーと比較して言うと、例えばサードパーティクッキーだとあなたを一位に特定するんですよ。一位ってわかりますか? 世界の誰とも違うあなた、と特定して広告を見せるのが今までのターゲティングなんですね。
プライバシーサンドボックスっていうのはそうじゃなくて、コホートって言葉をGoogleは使っていて、コホートはグループとか郡と訳されてるんですけど、そのグループ(に属している人たち)に対して最適な広告を見せるようになります。
— グループっていうのは、例えばサイクリングが好きなグループとか?
例えばそんな感じ。ただGoogleはコホートを作るときに「サイクリングが好きな人グループ」って名前をつけるわけじゃないので、そこが僕もよく分かっているわけではないけど、何かのグループに分類されて、そのグループがなんの広告に反応するかは広告主が試行錯誤して当てていくようになるっぽいです。
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デジタル広告の未来
— なるほど。広告枠が邪魔に感じることも少なくないので、そこの精度を上げられると良い気がします
宮崎さんも広告運用されたご経験ことあると思うんですけど、今後ネット広告ってどうなっていくと思われますか?
僕が思うのは、今までみたいにクッキーを使ったサイトを跨いだターゲティングができなくなりますと。なのでサイトを跨がなくていい事業者が強くなると思います。FacebookとかGoogleとかTwitterとか。Googleって最近はログインして使うことが多いから、サードパーティクッキー使う必要ないし。
事業会社がどういうところに広告出すかっていうと、今ももうやっていると思うけど、メアドを使って類似ユーザーを作る、というターゲティングの仕方。
— じゃあ、一度もうサービスを使っていただいた、登録していただいたユーザーありきで、類似の方たちにターゲティングして広告を出していく?
かなあと。あとはGoogleが用意しているプライバシーサンドボックスがどれだけ効果的に使われるのか、というのも見るべきポイントかなと思います。
予測と希望
— ありがとうございます。最後に、「個人情報を活用したマーケ施策」で今後宮崎さんがやりたいこととか、今後こうやって個人情報を活用して行ってほしい、みたいなアドバイスありますか?
僕が思うのは、ユーザー側が「むしろ私の個人情報使ってください」って言うような世界になるといいなと思っています。
なんか世の中的に個人情報って出さない方がいいってなっていて、それって個人情報を出してもいいことなくって、むしろ悪いことがあるから出したくないなってなっちゃってると思うんですね。
— そうですね。どこに使われているか分からないって言うのもありますね
そうそう。でも普通に考えると、企業がユーザーのことを知れば知るほど良いサービスができると思うんですよ。だから情報があればこんなに良いサービスができる、ってことをどんどん事業者が見せていけば、ユーザーも最終的には「あれ、個人情報って見せた方がいいじゃん、お得だよね」ってなるのがいいんじゃないかな。
あと広告も今すごい悪者扱いされてるんですけど、面白い広告ってのもあって、広告が全くない世界なんで嫌だもん。広告ないと新しい出会いがないのかなって。まあ別の新しい出会いがあるのかも知れないけど。
だから広告の会社ももっとブランディングすればいいのにって思う。例えば今同意管理ツールみたいなのがあって、広告はいるいらないってチェックできるようになってるんですけど、うちの会で作ってる同意管理ツールは「どの事業者からの広告はいるいらない」をチェックできるようになってるんですよ。
その時にですよ、この会社にチェックしとくと面白い広告出てくるんだよね、ってなったら良いわけじゃないですか、それで本当に面白い、役に立つ広告が出てくれば。そう言う世界がくればいいんじゃないかなと。
— 広告が邪魔ものじゃなくて、面白くて役に立つから、広告見たいって
そうそう。
— 広告も一つのエンタメになってくるのが理想
はい。
— 確かにそうですね。面白い考え方だな。ありがとうございます!
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