転職活動を行う上で、避けては通れないのが「逆質問」です。事前にその存在が分かっていながらも、何を聞いたらいいかわからない、頭が真っ白になって何も聞けなかった、という方が多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、逆質問を行う際の注意点と、実際に効果的な質問の例やNGな具体例をご紹介します。
面接官が逆質問をする理由
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1.志望意欲の確認
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2.コミュニケーション能力の把握
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3.自社との相性をチェック
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4.応募者の不安を軽減
逆質問をする際の注意点
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1.調べてわかることは聞かない
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2.面接中に説明したことは聞かない
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3.必ず1つは質問をする
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4.質問は簡潔にまとめる
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5.逆質問で自己アピールする
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6.応募企業で働いている姿をイメージさせる
面接のフェーズ別|逆質問の例
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一次面接は社会人としての基礎力をアピール
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二次面接は業務スキルの高さを伝える
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三次面接(最終面接)は会社の方向性とマッチしていることを伝える
アピールポイントの内容別|効果的な逆質問の例
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働く意欲や熱意を伝えたい
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長所を伝えたい
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協調性を伝えたい
逆質問とは
逆質問とは、選考活動の流れにおける面接の際に面接官の人から「最後に何か聞きたいことはないですか?」と問われた際に、応募者側から尋ねる質問のことを指します。企業側にとっても、応募者と自社の相性を図る上で欠かすことのできない存在といえるでしょう。
また、応募者の志望度の高さを測りたいという目的もあります。ほぼ全ての企業の面接の際に聞かれるといっても過言ではないため、面接官も逆質問を重視することが多く、質問をする側としては何を聞けばいいか迷ってしまうものです。
逆質問の内容や聞き方次第では、それまでの面接の結果が逆転する可能性もあるため、転職活動をする上で工夫する必要があります。
面接官が逆質問をする理由
面接の印象を良くするために、質問の意図を理解しましょう。面接官が逆質問をする4つの理由について解説します。
1.志望意欲の確認
1つ目は、志望意欲の高さを確認するためです。志望意欲が高く積極性のある人材の場合、何らかの質問はあると思われていることは多いものです。
「質問はありません」と答えると、志望意欲が低いとみなされかねません。逆質問は他社の面接から使い回せないので、事前準備で企業研究が必要です。採用側は逆質問で、応募者の志望意欲の高さが推測できます。
2.コミュニケーション能力の把握
2つ目は、応募者のコミュニケーション能力を確認するためです。逆質問は、面接の会話の流れを受けて聞くため、テンプレでなくとっさに頭の中で考えをまとめて伝える力が必要です。
面接官は「事前に想定できない会話をできるかどうか」をみています。
3.自社との相性をチェック
3つ目は、自社の社風と合うかどうかをチェックするためです。逆質問は応募者から質問できる数少ない場面のため、応募者の人柄や重視しているものが出やすい傾向にあります。
面接官は、逆質問でミスマッチしない人材なのかどうかを判断しています。
4.応募者の不安を軽減
4つ目は、応募者の不安を軽減したいという理由です。面接官が採用したい人材の場合は、内定辞退の可能性を少しでも減らしておきたいと考えています。
応募者の不安や疑問点はなるべく早くに解決したいため、質問を受け付ける時があります。
逆質問をする際の注意点
逆質問で何を聞くべきかを検討する前に、押さえておくべき注意点が6つあります。質問の内容を考える際には、必ずこれだけは確認しましょう。
1.調べてわかることは聞かない
企業のホームページや求人内容に書かれている基本的な会社概要や社風、企業理念などのように、少し下調べしたら事前に情報収集できるものは聞いてはいけません。面接官の方々からすると「それぐらいも事前に調べる努力をしてこなかったのか」と思われてしまい、志望度の低さや理解の足りなさ、意識の低さが露呈してしまいます。
調べてもわからない部分や、面接の中で生まれた疑問を尋ねるようにしましょう。
2.面接中に説明したことは聞かない
面接の中で、面接官が一度説明したことを忘れたかのようにもう一度聞くことも避けましょう。しっかりと面接の内容を聞いていなかったと判断されてしまいます。
新卒でも中途採用者でも面接の場はどうしても緊張してしまいますが、最後に逆質問があるという前提で面接に臨むことで避けることができます。
3.必ず1つは質問をする
どうしても質問が浮かばない場合に、「特にありません」と答える人がいますがこれもNGです。企業側からすると、自社にそこまで興味がないのだと判断され、志望動機がいかに優れていたとしても、最後に印象が逆転してしまいます。
緊張しても何かしら質問ができるよう、事前に最低でも3つは質問を用意するようにしましょう。
4.質問は簡潔にまとめる
質問をする際に、丁寧に質問をしなくてはいけないという心理が必要以上に働き、前置きが長くなってしまい、面接官が結局何を聞きたかったのか分からなかった、という事態は避けたいものです。
前置きはほどほどで大丈夫ですので、聞きたい内容を簡潔にまとめた上で質問をしましょう。
5.逆質問で自己アピールする
面接は絶好の自己アピールの場です。逆質問も、自己PRや特徴を伝えるチャンスが与えられたことは意識しておきましょう。
企業研究をしたうえでの質問なら労働意欲がアピールできますし、あなたの実績にふれたうえで「このスキルは御社で通用しますか」と質問すれば長所のアピールにもつながります。
6.応募企業で働いている姿をイメージさせる
逆質問は、面接官が「あなたが応募企業で働いている姿」を想像できる質問を選びましょう。あなたを採用して部署に配置するという前向きなイメージにつなげやすくなるからです。
「○○部門で採用していただけるなら、どのような業務から任せていただけますか」というように、職場で働いている姿をさりげなくイメージさせる質問の仕方が望ましいです。
面接のフェーズ別|逆質問の例
面接のフェーズに応じた逆質問のポイントなどを紹介します。OK例文とNG例文もリスト化しました。
一次面接は社会人としての基礎力をアピール
一次面接は社会人としての基本的なスキルと働く姿勢をみられています。
一次面接の概要 | 具体的な内容 |
逆質問のポイント | 会社の制度と2次面接対策の情報を得る |
面接官の役職など | 人事部採用担当者
応募部署の社員やマネージャー(管理職) |
見られているところ | ビジネススキル
コミュニケーション能力 配属先の部署に馴染めそうか 即戦力になりそうか |
OK「編集部はどのような雰囲気ですか」
OK「御社のBtoBマーケターに求める人柄を教えてください」
OK「御社でリーダーとして活躍するにはどのようなスキルが求められますか」
NG「二次選考に進めるのは何人ですか」
NG「マーケティング部は忙しいですか」
NG「質問はとくにありません」
二次面接は業務スキルの高さを伝える
二次面接は即戦力として活躍できるかについて、一次面接よりシビアに見られています。
一次面接の概要 | 具体的な内容 |
逆質問のポイント | 入社後の姿がイメージできるような逆質問をする |
面接官の役職など | 中堅社員
役員 |
見られているところ | 業務スキル
配属予定の部署の社員と仲良くできる人柄か 即戦力かどうかが、よりしっかり見られている |
OK「御社に中途採用で入社して活躍している方はどのような方ですか」
OK「入社後はすぐに活躍したいので、入社前に身につけたほうがいい知識を教えてください」
OK「前職で得た○○のスキルを活かせる業務はありますか」
NG「御社のおすすめの福利厚生は何ですか」
NG「昨年度のボーナスはどれくらい支給されましたか」
NG「残業やノルマ達成ができない場合は評価制度に響きますか」
三次面接(最終面接)は会社の方向性とマッチしていることを伝える
選考の終盤である三次面接(最終面接)は自社に合う人柄や性格かどうかがみられています。
一次面接の概要 | 具体的な内容 |
逆質問のポイント | 会社経営に関することなどを逆質問する |
面接官の役職など | 経営陣
社長 |
見られているところ | 会社の方向性とマッチした人間性か
自社に貢献してくれそうか 入社意欲の高さ |
OK「○○の業務にも取り組みたいと考えていますが、成果をあげれば任せていただけますか」
OK「活躍している方のタイプや共通点を教えてください」
OK「御社の○○という企業理念に共感しました。△△様は仕事でどんなことを大切にされていますか」
NG「職場の離職率は高いですか」
NG「過去にパワハラなどで退職した女性はいますか」
NG「年収など給与や待遇面が大きく改善することはありますか」
アピールポイントの内容別|効果的な逆質問の例
逆質問で積極的にアピールしたい内容別に、効果的な逆質問を5つご紹介します。
働く意欲や熱意を伝えたい
「私と同年代で御社に入社し役職についている人はいますか?」
「中途採用者に期待する点などがあれば教えてください」
「リーダーとして活躍するには、どのようなスキルが必要ですか」
「採用に至った場合はいつ頃から現場のチームに合流できますか?」
「御社で成果を上げるために、特にどのような勉強が必要でしょうか」
上記の回答例の場合、なるべく早く入社後に活躍したいという熱意や責任感を相手に伝えることができ、好印象につながります。また、実際の入社してからの期間などが聞ければ自分が入社した際のキャリアプランの参考になるメリットもあります。
企業側に対して「何を期待するか」「課題は何か」を尋ねることで、フィードバッグを受け「期待に応えられるよう頑張りたいです!」とやりがいもって働く姿や成長意欲をアピールできます。
長所を伝えたい
「前職で〇〇というスキルを培ったのですが△△の業務で活かせますか?」
「現在の業務は海外企業と英語でやり取りします。グローバルマーケティングに携わる機会はありますか」
「2年ほど5名のチームリーダーをしています。マネジメントを任していただけることはありますか」
「前職で社内賞を受賞したことで自信につながりました。御社も表彰制度はございますか」
「前職では月ごとに目標を定めていて平均105%の達成率でしたが、御社はどのように目標を設定されていますか」
これらの質問内容は「こういった経験やスキルがある」という自分の魅力のアピールにもなるのと同時に、入社後のイメージを具体的に抱いていることを伝えられます。そのため、志望度の高さや熱意をアピールできます。
自分の領域での経験や自己分析に基づいた強み、資格などをアピールすることが重要です。
協調性を伝えたい
「部署間でやり取りする機会はありますか」
「他社と共同でブロジェクトを進めることはありますか」
「クライアントのニーズや関心を知るためにコミュニケーションを重視していますが、御社で大切にすべきことは何ですか」
「同僚や上司と協力して業務を進めたいと考えています。部署で大切にされている考え方はございますか」
「業務への理解をより深めたいと考えています。部署の社員の方からお話を伺う機会はございますか」
採用側は中途採用者に協調性を求める傾向にあります。上記の逆質問例は、自分自身に協調性があることを伝えることが可能です。
同僚とどれくらい協力して仕事をする職場環境かという情報も得られます。
NGな逆質問の例
以下で紹介する逆質問の例は面接時にマイナスな印象につながりやすいため、避けた方が安全です。
仕事への意欲が低いと捉えられる
「1日のサービス残業時間はどれくらいですか」
「有給休暇は何日くらい取得できますか」
「近距離でも転勤は絶対したくありませんが、転勤はありますか」
残業時間や有給取得率など条件面を聞きたくなる心理はわかりますが、残業などをしたくないというネガティブな気持ちが透けてしまうため良い印象は持たれないでしょう。
「残業できない」「有給を活用したい」など希望がある場合、事前に転職エージェントやキャリアアドバイザーに説明して採用企業に確認してもらうことが、スムーズに疑問を解消するコツです。
自信がないか自意識過剰と感じられる
「TOEIC900点です。私の語学力が十分に活かせるポジションはありますか」
「マネジメントは苦手ですが、リーダーになることはありますか」
「クライアントと話す機会は多いですか。客先で話す自信がありません」
自意識過剰と捉えられないために「スキルの高い私を活かせる立場はあるか」という聞き方でなく「このスキルは御社で通用するか」という表現の方が無難です。
特定の業務に不安がある場合は、転職支援サービス担当者などに仕事内容を確認するのもひとつの方法です。
企業研究不足と思われる
「御社の強みを教えてください」
「御社の今後の戦略をお聞かせください」
「企業理念は何ですか」
こういった質問は、面接に臨む前の段階で業界研究をすることである程度知ることができます。
聞くのであれば、「業界研究を行ったところ御社の強みは〇〇事業の□□という点にあると思うのですが、あっていますでしょうか?」などのように、事前に調査したことを伝えられるような聞き方がおすすめです。
また、面接官の役職によっては将来的な戦略について具体的に把握していないことがあるのと同時に、それを聞いたところであまり身にならず、「なぜこんな質問をしてきたのだろうか」と疑問に思われてしまいます。
事業計画や事業展開などは会社概要の代表メッセージなどに記載されているケースもあるため、気になる場合は事前に調べるようにしましょう。
まとめ
一般的に、逆質問は転職活動を成功させる上では、切っては切れない大切な存在です。
質問の内容によって、面接官に持たれる印象も変わってくるため、今回ご紹介した具体例やサンプルをいくつか参考にし、事前に面接対策をしっかりとしましょう。
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