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戦略と実装の境界線を越えて 〜未来洞察と確かな実行力を武器にイノベーションを起こす越境人材の挑戦〜

By: Aquent

【インタビュー】 PwCコンサルティング/相島 雅樹氏・Wenjin Ma氏
LAST UPDATED: 2026/09/30

AIの進化や市場環境の急速な変化に伴い、ビジネスにおける戦略とデザインを隔てる壁は薄くなりつつあります。そして、これまでの「考える人」と「作る人」という職能分化から脱却し、相反する領域を柔軟に越えながら課題解決へと挑む人材が、いま強く求められています。

今回は、未来起点の戦略立案と先進的なアプローチでイノベーションを推進するPwCコンサルティングFuture Design Lab(※以下FDL)のメンバー、相島氏とMa氏にインタビューを行い、それぞれのバックグラウンドをはじめ、AI時代におけるデザイナーやストラテジストの役割の変化について語っていただきました。

Q.所属されているFDLに関して、お二人が担当されている領域や、プロジェクトについて教えてください。

相島氏:FDLはストラテジーコンサルティングの中にある部署になっており、戦略コンサルティングを提供するソリューションの組織になります。その中で、未来に基づく戦略立案を主に担っています。

当チームの大きな特徴は、所属メンバーのコアスキルである未来洞察の技法と、多彩なバックグラウンドを持つ人材の豊富さです。ストラテジー領域の専門家はもちろん、純粋なデザイン領域を突き詰めてきたメンバー、ブランディングやコンセプト立案に強みを持つメンバー、さらには建築家など、非常に多様な人材が集まっています。私自身もプロダクトマネジメントやリサーチの分野から参画しました。


Ma氏:私たちは「Future comes true:未来は自分たちで作り出す」という思想を大切にしています。この思想を体現するために大切なのが未来との足元を繋げること。ラボの中には遠い未来を構想するチームもあれば、私のようにプロダクト出身で、思い描いた未来を具現化し、具体的な形に落とし込んでいく領域を得意とするメンバーもいます。

遠い未来を描くだけでなく、それを足元のプロダクトやアクションに落とし込んで実現していく。この両方を繋ぎ込み、それぞれの役割を果たすことこそが私たちのチームにおけるクレドであり、未来を形にする力になっています。

Q.お二人は様々な業界で、異なる職種をご経験されてきたかと思いますが、ご自身のキャリアやFDLにジョインされた背景について教えてください。

相島氏:前職の情報通信系の企業では、プロダクトマネージャーやリサーチャーとして、住宅領域のサービス企画や新規事業の立ち上げ、リサーチ組織の再編など幅広く事業成長を牽引してきました。そうした経験がある中で、AIを活用したプロダクトの非連続な進化を目指すプロジェクトでは、未来の業界像や生活者の変化から逆算して明確なビジョンを構築し、経営層との議論を通して合意形成を図りながら、戦略の策定から実行までを推進しました。

このような先進的な知見と実績を活かし、より広いフィールドで新たな価値創造に挑戦したいと考えFDLへ参画しました。現在は、未来から逆算する戦略設計力と確かな実行力を強みに、市場の変化を先取りする革新的なプロダクト展開と組織の持続的な成長の実現に向けて着実に成果を積み重ねています。


Ma氏:私は日本の美大でリアルなモノづくりからWebなどのデジタルプランニングまで幅広く学んだ後、ベンチャー企業でのインターンを経てキャリアをスタートさせました。そこで感じた「ものづくり」と「デジタル思考」の共通点が自分の原点になっています。

前職の広告代理店では新規事業の立ち上げに携わり、ブランディングからプロダクト開発まで横断的に経験しましたが、どうしても小規模な領域に留まりがちだったという課題感もありました。ソフトウェアとハードウェアを統合的に捉えてきたバックグラウンドがあるからこそ、単なる流行りのデジタルコンテンツを作るのではなく、もう一歩引いて「人と世界との関係性」を捉え直すような広義のデザインに挑みたいと考えています。

FDLは完成された組織というより、志を同じくする仲間が面白いことができそう!というワクワク感に惹かれて集まる場所です。私自身も、これまでにない新しい価値観や刺激に触れられることに期待して飛び込んできました。

Q.これまでのキャリアと比較して、コンサルティングやビジネスの現場で、デザイナーやストラテジストに求められる役割というのは、どう変化していると感じますか?

PwCコンサルティング相島氏がインタビューで語っている画像

相島氏:元々テクノロジー業界にいて、会社の規模や従業員数が急拡大するフェーズを前職で経験してきました。会社が大きくなりITが体系化されていくと、どうしても役割分担や職能分化が進んでいきます。専門性を磨くには良い環境ですが、少人数でやっていた頃にあった鋭い洞察を捉え、テクノロジーを活用してすぐに実行へつなげるという手応えからは、どうしても乖離してしまう感覚がずっとありました。ドメイン知識という言葉だけではくくりきれないような深いインサイトを捉え、直感的に実行へとつなげていきたいという思いがずっと心にあったんです。

ただ、分化してしまったものを再びつなぎ合わせるには共通言語が必要になります。
デジタルプロダクトが出始めた頃は、「今」のユーザーの視点があれば十分でしたが、今の時代にイノベーションを起こし社会や会社を変えていくには、「未来」という視点が欠かせません。この今のユーザーと未来の両方を見つめることこそが、組織全体の共通言語になり、KPIの策定や部門を超えた連携、ステークホルダーとの対話を支えるアイデアの源泉になると感じています。

これまで経験者の勘に頼りがちだった未来を、再現性のある方法論として確立させていく。そこで重要になるのが、デザイナーやストラテジストの存在です。未来という共通言語を使いこなしながら、ビジネスを動かす力と人を育てる力の両方が求められます。

これまでのコンサルティングのように言葉で伝えるだけでなく、具体的に形にして見せること。この見せて伝えることが本当に必要ではないかなと考えています。

Ma氏:デザイナーって、これまでは専門スキルを持った職人のようなイメージが強かったと感じています。美しくないものを綺麗に仕上げてもらうための専門家、という印象が大きかったですよね。でも、そうした大衆的な美しさや基準に沿ったアウトプットを作るのって、AIなどの進化によって今ではすごく簡単になってきています。技術的・物理的な障壁が薄くなったからこそ、デザイナーに求められる役割も一変していると肌で感じているんです。

今の時代に求められているのは、世の中の正解を作る特権を持った専門家ではなくて、「そもそも何を創りたかったのか」とクライアントに問いかけ、内面にある想いを引き出し、一緒に形にしていくファシリテーターであり、伴走者なんです。もちろん、ストラテジストやコンサルタントも全く同じだと思います。ただ調べものを代行するのではなく、目指す未来に向かって横で一緒に走り抜ける姿が求められているのだと思います。

目の前のKPIを追って解ける課題ばかりを解く従来の方法から一歩踏み出し、そもそも自分たちは何を求めているのか、世界をどうしたいのかという本質的な問いを深める機会が増えてきています。ロジックのその先にある感性を活かしながら、そうした問いを投げかけ、クライアントの想いを引き出して伴走していくこと。それがこれからのデザイナーやストラテジストにとって、すごく大切な役割だと考えています。

Q.戦略と実装を往復する楽しさや、逆に苦労する点や難しさはどこにありますか?

相島氏:戦略と実装って企業の中でも基本的には分かれているものだと思うんですよね。クライアントから相談をいただく際も、戦略を考えたいか、実行に移したいのかどちらかに分かれていることがほとんどで、最初から両者が混ざり合っているケースはあまりありません。

でも、本当に筋の良い提案というのは、実装の段階でも戦略の背景を汲み取って提案できていますし、戦略側も実行可能でなければ意味がありません。だからこそ、戦略と実装は両立させるべきですし、どちらかを起点にもう一方の意義を発見していく、そういうことが重要ではないかと思っています。

ただ、クライアントから両方をセットでやってほしいと明示されるわけではないので、そこを自分でひもといていく難しさはあります。だからこそ、そこにどうアプローチするかを対話しながら探っていくプロセスには大きな面白さがあります。

私自身、初めてコンサルティングファームに転職して驚いたのですが、社内のディスカッションでアイデアそのものを否定されることがほとんどないんです。論理の組み立てについて指摘を受けたりブラッシュアップを求められたりはしますが、考え自体を突っぱねられることはありません。

これはデザインのカルチャーともすごく共通していますよね。立場に関係なくフラットにアイデアをぶつけ合える瞬間は純粋に楽しいですし、戦略と実装が噛み合わないという難しさを抱えているからこそ、前向きにアイデアを出し続けていきたいと思えます。

PwCコンサルティング社のMa氏がインタビューを受けて語っている様子

Ma氏:私は大学生の頃から、自分の中で戦略と実装を分けて考えてはいませんでした。世の中に必要なものをデザインし、自らの手で具現化する力を身につけなさいという教えのもとで育ってきたので、ビジネスの意思決定とモノづくりの現場は、自分の中ではずっと一体だったんです。

ただ、以前は企業側も戦略を考える頭脳と手を動かす実装者を明確に分ける分業スタイルが一般的でした。意識をもって両方を最初から最後までやろうとする姿勢は、大企業だと機能しにくかった時期もあったと思います。でも、技術の進歩などによって双方を隔てる壁が薄くなっている今、戦略と実装を自然体で両立できる人材こそが求められる時代になりました。ある意味「ようやく自分の時代が来たな」と感じています 笑。

大学時代やスタートアップで経験した、自分でゼロから最後まで作り上げてやるぞという私の原点のような感覚を、この時代だからこそ改めて思い出して活かしていくことが大切だと考えていて、もちろん、あらゆるスキルや視点を身につけ続けるのは簡単なことではありませんし、常に難しさと隣り合わせで辛い瞬間もあります。

でも、難しさと楽しさは表裏一体なんですよね。ひとつのゴールに向かって試行錯誤しながら走っているプロセスそのものが、純粋に面白い。この感覚は、誰しもが学生時代や子どもの頃に感じていたものづくりの原体験に通じているのではないかなと思っています。

Q.FDLでは、戦略とデザインを越境するうえで、個々のアントレプレナーシップ(起業家精神)を非常に重視されているとお聞きしました。価値を創り続けるうえで、この姿勢が果たす役割について教えていただけますか?

相島氏:クライアントファーストという言葉がありますが、クライアント自身が常に見つめているのは「自社の顧客」、つまり自分たちにとってのお客さまなんですよね。よくクライアントと同じ目線に立って信頼を得ると言いますが、それは単にクライアントの顔色をうかがうということではなくて、クライアントのお客さまに対して、このビジネスは社会にどういうインパクトを与えるのか、どういう意味や価値があるのかという視点を共有し、クライアントとはまた異なる独自の角度から理解し、組み立てていくことだと思うんです。

このアプローチって、実は起業家、つまりアントレプレナーが持っている視点とすごく似ているんですよね。同じ社会や最終的な顧客に向けて、既存の企業とは別の新しい視点で価値を捉え直していく。コンサルティングやデザインの現場においても、この「アントレプレナーシップ」の思考を持っているかどうかが、独自の価値を生み出すための大きな鍵になるんだと感じています。

Ma氏:子どもの頃は、誰しもが「こんなカフェを作ってみたい」や「ゼロから何かを生み出したい」といった純粋な想いを持っていたのではないでしょうか。本来、人間は決められた役割を果たすことよりも、自分で創り出すことを好む生き物なんだと思います。未知の世界へ踏み出す好奇心や、失敗を恐れない勇気のようなものは、人間の中には最初から備わっているはずです。

ただ、これまでは「役割を細かく分けたほうが効率が良い」とされてきたため、誰もがどこかのパーツとして枠にはめられ、本来持っていたワクワク感も忘れられがちでした。しかし今の時代、AIの普及なども手伝って、そうした専門分野ごとの壁はどんどん低くなってきています。

だからこそ、自分たちで勝手に作ってしまった枠組みから一回飛び出してみることが大切なのだと感じています。子どもの頃に抱いていたような純粋な衝動や欲求をもう一度呼び覚まし、自分の内側から引き出していく。大人になってもその原動力を持ち続けることこそが、本当の意味で領域を越境できる人材になり、これからの社会で通用していくための大きな武器になるのではないかなと思っています。

Q.デザイナーやストラテジストに求められる役割の変化に、AIの台頭はどのように関係していると思いますか?

PwCコンサルティング社、相島氏とMa氏がインタビュー取材で答えている様子

相島氏:AIの活用が進むことで、情報を共有したり伝えたりするコストは劇的に下がっていくはずですし、私自身そこにはすごく期待しています。これまでは、一人の人間が密にコミュニケーションを取れる人数には限界があったからこそ、組織を階層化したり、少人数のチームに分けたりする必要がありました。でも、そうした前提条件自体がこれからは大きく変わっていくと思うんです。

従来は「こういう問題が起きたから、この部署のあの人に解いてもらおう」と、人間が振り分け装置のような役割を担ってきました。でも、コミュニケーションの制約がなくなった世界では、企業が抱える課題の性質そのものが変わってきます。そうなった時に、目の前の課題を解くのにふさわしいのは誰なのか。答えはシンプルで、問題を解決するための道具を自分の中にたくさん揃えている人だと思うんですよね。

戦略もデザインも横断できるフルスタックな人、多様なツールを持って柔軟に越境できる人材こそが、複雑な課題に対して一番貢献できるのではないかなと。AIの台頭によって越境的な動きが求められている背景には、そうした組織や課題構造の根本的な変化があると考えています。


Ma氏:従来は、人間に対して機械のような正確さや綺麗さを過剰に求める時代があり、正直居心地が悪かった部分もあると思うんです。でもAIの登場によって、人間がそこまで機械的な正確さを担う必要はなくなりました。AIが曖昧な言葉や感情のニュアンスまで汲み取れるようになったことは、大きな進化だと思っています。

だからこそ、私たちは一歩引いて物事を立体的に捉えたり、ロジックを超えた違和感や空気感を感じ取ったりする感性=センシビリティを研ぎ澄ますことが重要になってきているのかなと思います。デザインって、理詰めで考えて導くこと以上に、五感を研ぎ澄まして捉える「感じる力」だと思うんですよね。

AIが正確なアウトプットを肩代わりしてくれるからこそ、人間は正解を作り出す作業から解放され、より人間らしく感じることに重心を置くべき時代が来ているのだと思います。

Q.FDLで働く楽しさや、強みを教えてください。

相島氏:私たちが掲げるビジョンやバリューの中でも特に面白いと感じているのが、クライアントのビジネスを変革するだけでなく、自分たちのコンサルティングビジネス自体を変革しようと本気で考えている点です。トップのパートナーをはじめ、そうした挑戦に強い興味を持つ仲間が集まっています。

自分たちのビジネスを変えていくわけですから、当然決まった答えはなく、不確実性やカオスな面もあります。ただ、それを不安に思うのではなく、自分たちで考えながら未来の形を作っていくことに喜びを感じられる人にとっては、これ以上なく刺激的で魅力的な環境だと思います。

Ma氏:一般的な環境では生産性や目の前の利益が求められがちですが、FDLでは、AIと人間のコラボレーションはどう変わるかといった本質的な問いを贅沢に考えられる機会が多くあります。目の前の数字だけでなく、長期的な目線で世界がどう変わるかを哲学的に深く考えられるポジションって、探してみても本当に少ないです。

転職活動でさまざまな求人を見てきましたが、これほどユニークな組織は日本どころか世界的に見ても貴重だと思います。最近ではAI企業が哲学者や経済学者を巻き込み始めているように、今後はこうした思考力こそが強く求められるはずです。単なる生産性の追求を超えて、世の中に何を問うべきかを深く探求したい人にとって、FDLは最高の環境だと思います。

Q.最後にキャリアチェンジを検討している多くのデザイナーや、戦略コンサルティング、ビジネス戦略領域に興味・関心がある方に向けて、今から始められる越境への第一歩としてアドバイスをお願いします。

PwCコンサルティング社、相島氏とMa氏が笑顔でインタビューに答えている様子

相島氏:情報や手段があふれる現代では、ただ問いを立てる人よりも、実際に試したことがある人の価値が高まっています。だからこそ越境への第一歩として大切なのは、自分なりの問いや仮説を立てて、小さくても実際に検証してみることだと思います。

海外の投資家が子どもの頃にレモネードを売った経験を語るように、大袈裟な実績である必要はありません。AIを使えばこんなことができるはずだと仮説を立て、自分で試してどうだったかを確かめてみる。そうした手触り感のある原体験を積み重ねていくことこそが、領域を越えていくための大きな強みになるはずです。

Ma氏:これまでの分業体制に慣れ親しんでいるとつい忘れてしまいがちですが、まずは自分の中にある好奇心や違和感を呼び戻すことが第一歩だと思っています。

仕事でこんなことを聞いていいのかな?これは正しい問いなんだろうか?と迷う必要はありません。合理的な判断ばかりを優先するのではなく、自分なりの問いを持ち、それを口に出せる勇気を持つこと。自分の感覚や違和感を大切にして引き出していくことこそが、領域を越えて挑戦していくための大きな原動力になるはずです。

まとめ

考えること、形にすること。一見異なるものに思えるこの2つですが、AIが進化する今の時代だからこそ、その境界線を楽しそうに飛び越えていく人たちがいます。

効率や正解ばかりが求められがちな日々の中で、ワクワクしながら何かを作りたい、世の中のちょっとした違和感を大切にしたい、疑問を持ったら小さくてもいいから試してみるという純粋な気持ちこそが、実は新しい未来を開く一番の原動力になるのかもしれません。


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・Future Strategist/フューチャーストラテジスト【Future Design Lab】

・Forward Deployed Innovator/フォワードデプロイドイノベーター【Future Design Lab】


【Interviewees】

相島 雅樹

Manager
Strategy Consulting- Future Design Lab
大手IT 企業に新卒入社。国内最大の不動産検索サービスでプロデューサーを経験後、プロ
ダクトマネージャーとリサーチャー(主任研究員)を兼任。FDL では、バックキャスト型
の事業戦略立案とプロダクトマネジメント支援を並行して推進するAI プロダクト企画開発
の伴走支援を実践し、常駐型戦略支援のオファリング開発に取り組む。

Wenjin Ma

Senior Associate
Strategy Consulting- Future Design Lab
美大卒業後、広告代理店にて新規事業/サービス立ち上げ専門チームを経て現職。新規事業
におけるサービスのアイディエーションから形に落とす体験設計までワンストップでデザ
インすることを得意とする。

※法人名、組織名、役職、インタビューの内容等は取材当時のものです。