AQUENTでは、クリエイティブ、デジタル、マーケティング分野における人材の獲得、育成、定着に関する課題やトレンドを共有し、より良い意思決定の道標を共に見出す目的で、HRリーダーの方々を対象としたイベントを大阪にて開催しました。
今回のゲストとして、パナソニック オペレーショナルエクセレンス株式会社 リクルート&キャリアクリエイトセンターより、センター長の坂本 崇氏をお迎えし、優秀な人材を採用し、定着させるために、先進的な企業はどのような施策を行っているのか、実例を交えてお話をいただきました。
【プログラム】
●グローバルと日本の採用トレンド(エイクエント・エルエルシー 杉本 隆一郎)
●パナソニックグループの「人的資本経営」(パナソニック オペレーショナルエクセレンス株式会社 坂本 崇氏)
●雇用形態別に見る人材獲得戦略(エイクエント・エルエルシー 家田 和明、的場 大輔)
グローバルと日本の採用トレンド
セッション冒頭では、当社エイクエント・エルエルシーの杉本 隆一郎より、近年のグローバルトレンドとして、AIや没入型テクノロジーなどの活用が加速化する中で、既存のスキルとテクノロジーを融合させた、新たな職種が増加していることをご紹介しました。
また、最近の日本の採用市場にも変化が生じ、どのような人材が求められているのか、また、優秀な人材を獲得するために各企業はどのような取り組みが必要なのか、インサイトをお届けしました。
パナソニックグループの「人的資本経営」
今回、ゲストスピーカーとしてパナソニック オペレーショナルエクセレンス株式会社より坂本 崇氏をお迎えし、パナソニックグループの「人的資本経営」について目指す姿、そして、エンゲージメント向上やアルムナイの取り組み事例などに関してのお話をお伺いしました。
創業者の志「物をつくる前に人をつくる」
当初、エンジニアとしてパナソニックグループへ入社した坂本氏。エンジニアの自分に何ができるか疑問を持っていましたが、創業者の理念を今一度思い返す必要があるのではないかという課題を認識し、変化を促すことの重要性を実感する中で、社内公募制度を利用して人事部門への異動を決意しました。エンジニアから人事への職種転換という大きな挑戦でしたが採用に至り、人事部門での業務に加わることになりました。
揺るぎない経営の「軸」:経営基本方針
経営理念は企業にとって重要な基盤であり、パナソニックグループでは「自主責任経営」という考え方が根付いています。これは松下幸之助氏の「一人ひとりが社長かのように働きなさい」という言葉に基づいていて、個々の社員が自らの努力を重視し、組織全体としてその努力を結集させることが求められています。また、組織として能力を発揮するためには「衆知経営」の考え方が重要であり、一人ひとりの果敢な挑戦と全員で知恵を出し合う職場環境の構築が大切であると坂本氏は述べていました。
目指す姿:ポテンシャルを「UNLOCK」する
「UNLOCK」という言葉を目指す姿として掲げ、ポテンシャルを解放していこうという意図を示していると坂本氏は言います。これは、個々の可能性を引き出し、成長を促すための取り組みを表現しています。
「UNLOCK」された状態とは、能力の発揮レベルと挑戦レベルが調和し、ワクワクしながら時間を忘れて仕事に取り組むことができる状況を意味します。このような状態を実現するために、人事は挑戦を応援し、持てるスキルを最大限に伸ばすサポートを行います。そして、経営基本方針を高いレベルで実践し、組織全体が生まれ変わるような取り組みを進めていますと述べていました。
「UNLOCK」カルチャー醸成に向けた “変化の兆し”
いくつか「UNLOCK」の実現に向けた、カルチャーのシフトとして人事が取り組んでいる具体例を挙げていただきました。
・新卒の学生を対象とし、採用活動において生成AIをキャリアアドバイザーの役割で活用する試み
・キャリア採用の拡大と育成や評価・処遇、異動、再雇用などのプロセスの見直し
・「アルムナイ」(パナソニックグループを卒業された方との関係構築)への注力
エンゲージメント向上の取り組み
他の企業にも言えることであろうと坂本氏が語ったのは、アンケートやサーベイ、eラーニングなど、人事のアクションは煙たがられがちで、「またやるの?」という反応が多いということでした。
打開策としてパナソニックグループが取り組んでいることは、施策目的の認知を重視することです。具体的には、サーベイの目的や立ち位置を明確にするための説明動画を作成し、サーベイ結果を可能な範囲で共有し、意見交換の場を設けることが重要だと考えています。さらに、得られた意見を基に施策を検討し、現場との対話を継続することが求められます。人事はこのプロセスの結節点として重要な役割を果たし、現場の理解とエンゲージメントを高めることが成功の鍵であると坂本氏は述べていました。
アルムナイの取り組み
従来の採用プロセスに対して、坂本氏はアルムナイの重要性も強調しています。
アルムナイはグループを離れた後もつながりを醸成し新たな関係を築くものであり、これを人事部門が中心となって推進する必要があるとしています。人事はアルムナイの情報を持っているため、同じ職場にいた人同士だけでなく、異なる職場の人々ともつなげることで、意外な化学反応が生まれることがあります。
アルムナイに対する理解について、「出戻り」との誤解がありますが、実際にはそうではなく、重要なのは「協業と共創」であると述べており、アルムナイ同士やパナソニックグループとの新たなビジネス創出を促進することが大切だと強調しています。
また、ブランディングも重要であり、アルムナイの人々にインフルエンサーとしての役割を果たしてもらうために、パナソニックグループの現状を定期的に伝える取り組みを行っています。
復職の支援も行う中で、それに限らない多様なアプローチを打ち出すことが重要だと坂本氏は語っていました。
さらに、中長期的に目指す姿に向け、まずは「認知獲得」を重視し、アルムナイのコミュニティを立ち上げて多様な場所で認知を拡大していくことが挙げられていました。自発的に内部のメンバーが活動する状態を作り、最終的には人事の関与なしにアルムナイの取り組みがグループのカルチャーとして根付くことを目指しています。これにより多様な事業やサービス、キャリアが生まれ、アルムナイとパナソニックグループが密接に結びついていくと考えています。したがって、中長期的なビジョンを持ちながら進めることが重要であると述べていました。
人的資本経営の考え方
まとめとして、人的資本経営においては「事業は人なり」という松下幸之助氏の言葉が示すように、人がいなければ事業は成り立たないと坂本氏は語っています。このため、意図をもって人を育成することは重要な役割であり、意志を持って取り組むことが人的資本経営の基本であると考えています。また、データの開示などが人的資本経営の始めに来ることが多いですが、それだけではなく、本質を大切にしていきたいと坂本氏は述べていました。
雇用形態別に見る人材獲得戦略
ここでは、エイクエント西日本のマネージャーである家田、的場より、エイクエントが強みとしている「人材紹介」「紹介予定派遣」「人材派遣」について近年の事例をもとに、採用情報の動向をお伝えしました。
その中で、当社はスペシャリストに特化した人材エージェンシーとして、地域、雇用形態ともにフレキシブルな課題解決が可能であり、拠点を跨いだ連携や幅広い人材ネットワークなどを通じて企業及び求職者の皆さまをサポートさせていただいていることをご紹介しました。
まとめ
人材獲得競争の激化や、不透明な経済、テクノロジーの急速な進化に伴う今までにない職種や職務の登場など、クリエイティブ、マーケティング、デジタルの世界は常に変化しています。ビジネスニーズが刻々と変化する中で、優秀な人材を採用し、定着させるために、今、何が必要とされているのでしょうか。
今回、先進的な企業はどのような施策を行っているのか、実例を交えてお話をいただき、様々な企業様の参考になったのではないでしょうか。
今回のイベントが、皆さまの採用活動におきまして一助となれば幸いです。
【登壇者】
坂本 崇 氏
パナソニックオペレーショナルエクセレンス株式会社
リクルート&キャリアクリエイトセンター センター長
2006年、国立宮城高専専攻科を卒業。入社以来、技術者として現場の最前線でモノづくりに従事。
創業者の言葉である「物をつくる前に人をつくる」の再興を志し、2018年に社内公募制度により人事部門へ異動。
現在はグループ全体の人材獲得やキャリア支援を推進する部門のマネジメントに従事。
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