ポートフォリオの作り方が分からない、何を記載したらいいのだろう…と悩むクリエイターは多いものです。ポートフォリオの出来次第で転職の書類選考通過率が変わり、次の選考に進めるかどうかが決まります。
転職活動を有利に進めるために、ポートフォリオに記載する基本的な5つの項目と、上手に作るポイントを紹介します。
ポートフォリオに記載する5つの基本項目
→ 1.自己紹介
→ 2.職務経歴・自己PR
→ 3.スキルレベル
→ 4.将来のビジョン
→ 5.作品紹介
転職に有利なポートフォリオを作るポイント
→ 1.目を引く目次にする
→ 2.応募企業に合わせたポートフォリオを作る
→ 3.適時、更新する
→ 4.客観的な見やすさを重視する
職種別ポートフォリオを作成するコツ
→ Webデザイナー・UIデザイナー
→ ITエンジニア
→ CGデザイナー・グラフィックデザイナー
→ ライター
→ 未経験者
ポートフォリオを転職活動で活かすコツ
→ 紙媒体とWebで用意する
→ ポートフォリオの要点を説明する
ポートフォリオとは
ポートフォリオとは、あなたのスキルや作品をまとめた資料です。Webデザイナーやイラストレーター、エンジニアやクリエイターなどのクリエイティブ系の職種へ転職する際に必要となります。
クリエイティブ職種以外への転職の場合、職務経歴書や履歴書によってあなたの経歴やスキルを確認することができます。しかしクリエイティブ系の職種の場合、文章だけではスキルが把握できません。目に見える形で作品を確認する必要があります。
過去に制作した豊富な作品をひとつにまとめ、スキルと経歴などを併せて記載したものがポートフォリオです。基本的に、転職活動の際には最初に提出を求められるケースが多いです。
職務経歴書との違い
職務経歴書は、以下の内容を中心に記載します。
- 職歴
- スキル
- 志望動機
- 自己PR
一方でポートフォリオの場合は、上記項目に加えて、あなたが過去に制作した成果物を掲載する必要があります。
写真やスクリーンショットで表現できる場合は画像を、動画などの場合はそれが確認できるURLを掲載し、採用担当者の方にスキルや作品を確認してもらいます。文章以外に、可視化できる作品などをまとめて掲載する点が、職務経歴書とは異なります。
ポートフォリオに記載する5つの基本項目
ポートフォリオを作成する場合、応募先の企業から特に指定がない場合は、以下の5つが必須項目です。
それぞれポイントをまとめてご紹介します。
- 自己紹介
- 職務経歴・自己PR
- スキルレベル
- 将来のビジョン
- 作品紹介
なお、5つの項目のうち「作品紹介」が最も重要なポイントです。
1.自己紹介
自己紹介は、職務経歴書に記載する場合と大きな違いはありません。以下の内容を盛り込みましょう。
- 氏名
- 顔写真
- 職種
- 生年月日
- 連絡先
ポートフォリオを確認する採用担当者に、より具体的にあなたについてイメージさせるためにも、可能な限り数字を用いて自己紹介を記載します。
2.職務経歴・自己PR
職務経歴と自己PRは、学校卒業後の職務経歴と実績、業務内容、受賞歴などを年表形式で記載します。なるべく数値を記載し具体的な業務内容を併せて記載するようにしてください。
役職を持っていた場合は経験値としてアピールポイントになります。役割やマネジメントしたメンバーの人数など、活躍した内容を明確に記載しましょう。
職務経歴をふまえ、200~300文字前後で自己PRを盛り込みます。
3.スキルレベル
使用可能なツール名や言語は、以下の3つの内容を記載します。
- 使用歴
- 使用頻度
- スキルのレベル
エンジニアの場合、HTMLやCSSなどのWeb言語を記載し、デザイナーはIllustratorなどのツールについて書きましょう。
どの程度扱えるのかを客観的に理解してもらうために、使用歴の記載やスキルレベルを5段階で表すと、より伝わりやすくなります。
スキルの中で特に得意なものがあれば、その点もアピールします。
4.将来のビジョン
将来、どのようなキャリアを歩み、どのスキルを身につけたいかについて記載します。あなたのキャリアプランの方向性と応募企業の欲しい人材像が合っている場合、採用担当者から「自社のニーズとマッチした人材」と評価されて有利に働くことがあります。
5.作品紹介
ポートフォリオの中で最も重要な部分が作品紹介です。1ページか見開きで各作品をまとめます。全体の作品数は10~20作品ほどが最適です。各作品に必ず説明文を記載してください。
説明文に記載する項目の例を紹介します。
- 作品タイトル
- URL(Webサイトの場合)
- 作品画像
- クライアント名
- 制作年月日
- ターゲットユーザー
- 作品の目的
- 成果(認知拡大やCV率向上など)
- クライアントの要望
- 制作にかかった時間
- 使用ソフトや言語
- チームで制作した場合はあなたの担当領域とポジション
上記から、応募企業の事業内容や自分の職種にあったものを選んで記載しましょう。
作品のクオリティがチェックされるため、画像を記載する際は高画質なものにこだわることが大切です。作品の成果は、5W1Hを意識して簡潔にまとめ、定量的に記載します。
なお、クライアントとの守秘義務によって実績として公開できないものは掲載してはいけません。著作権侵害になることもあるため、必ず確認を取ったうえで作品は掲載しましょう。
転職に有利なポートフォリオを作るポイント
ポートフォリオに必要な基本的な5つの項目を確認したうえで、転職を有利に進めるために以下のポイントを意識しましょう。
1.目を引く目次にする
ポートフォリオの最初のページに目次を用意します。一目見るだけでポートフォリオの概要が分かり、目を引くような目次にしましょう。
採用担当者からすると、求職者の全てのポートフォリオに目を通さないといけないため、ポートフォリオの確認が流れ作業になってしまいがちです。
目次でインパクトを与えられたら、採用担当者の興味を惹き他の求職者より目立つことができます。
2.応募企業に合わせたポートフォリオを作る
ポートフォリオは、応募企業の求める人材像に合わせたものが理想です。ポートフォリオをイチから作り変えることが大変だったり難しかったりする場合、紹介する作品やビジュアルを差し替えましょう。
応募企業の必要としているスキルや強みを持っていることがアピールしやすくなります。
例えば、飲食サービス業の企業に応募する際は、飲食サービス業に関連する自信のある作品に差し換え、Webサイト制作代行の企業の場合は、クリエイティブなスキルやマーケティング能力の分かる作品に配置換えします。
応募企業の好みに合いそうなテイストの作品を選ぶのもひとつの方法です。
3.適時、更新する
ポートフォリオが完成しても、新たに携わった業務や獲得したスキルがあれば追記して更新していきましょう。
特に、Web系の職種は技術の進化が目まぐるしいです。新しく身に付けた技術は常に追記します。
ポートフォリオは転職時に実績のアピールができるだけではありません。自分自身の振り返りにもつながります。担当業務の成果を言語化して積み上げていくと、仕事へのモチベーションアップにつながることもあります。
4.客観的な見やすさを重視する
いくらあなたに優れた能力やセンスあったとしても、それが採用担当者に伝わらなくては意味がありません。
見やすさによって受け取り手の印象も変わるため、見やすくわかりやすいレイアウトを意図的に意識しましょう。特にUIUXデザイナーなどの職種へ応募する場合は、ポートフォリオ自体が自身のスキルをアピールする場でもあります。
ポートフォリオの作成後、客観的な意見をもらうためにも、第三者に相談したうえで全体を確認してもらうことがおすすめです。
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職種別ポートフォリオを作成するコツ
業界や職種別などに、充実したポートフォリオを作成するためのコツをご紹介します。それぞれを参考にし、自分が転職したい職種に特化した内容にしましょう。
Webデザイナー・UIデザイナー
WebデザイナーやUIデザイナーの場合、制作したWebデザインが重視されることはもちろんですが、どのような目的や課題があってそのデザインを作ったのかといった、作るに至る過程が重要視される傾向にあります。
作品の説明文を記載する際は、作品の狙いやコンセプトを具体的に記載しましょう。
Webディレクター
Webディレクターが記載したい項目はこちらのとおりです。
- 担当領域
- 具体的な業務内容
- 携わった関係者の人数
- 最終成果
Webディレクターの場合は、企画書作成や進行管理、クオリティチェックなど、どの領域を担当したか記載しましょう。
ディレクション業務で担当したライターやデザイナーなどの人数を記載すると、プロジェクトの規模やコミュニケーション能力が伝えやすくなります。CV獲得数など、最終成果をアピールすることも大事です。
ITエンジニア
ITエンジニアの場合、Webサイトを作る過程で同じ見た目であったとしてもアプローチの方法は複数あります。
どういった選択肢があり、なぜその選択肢やツールを選んだのか、制作過程の思考プロセスを設計段階から併せて記載するようにしましょう。
また、最近のWebサイトはUIやUXが重視される傾向にあるため、その点のこだわりや意識したこともあれば記載しましょう。
フロントエンドエンジニアの場合は、HTMLやCSSなどのコーディングスキルが伝わるようにすることも大切です。
CGデザイナー・グラフィックデザイナー
CGデザイナー・グラフィックデザイナーの場合、成果物がアニメーションなどの動画になる場合があります。
その際、動画が確認できるURLを記載することに加え、動きが確認できるようなカットを3,4個抜粋して記載しましょう。
また、キャラクターデザインなどを手がけたアニメーターなどの場合は、前面からの画像だけでは個性が確認できないため、背面や横からのアングルなど複数の画像を用意してください。
ライター
ライターの場合、原稿作成時の狙いや読者のペルソナ、得意ジャンルなどを記載しましょう。
執筆した文章だけではなくどういった狙いや目的があってその文章構成にしたのかを記載することが大切です。
また、記事の読み手はどういった層を想定していたのかも記載しましょう。「サービス申し込み」「商品購入」など、読み手にどういったアクションを起こして欲しいのかなど、工夫した点や注意した点があれば必ず書くようにしてください。
原稿が掲載されることで、PVやCV率が向上したといった成果をアピールするのも有効です。得意ジャンルに関する実務経験があれば、経歴も紹介するようにします。
未経験者
デザイナー未経験など、応募する職種の実務経験がない方は、大学など学生時代に制作した作品や無償で引き受けた成果物を記載するようにしましょう。どちらもない場合は、ポートフォリオ用に作品を制作します。
また、資格があれば記載します。簡単に取得できる資格であっても、応募する職種に関連していれば、働く意欲を伝えることが可能です。
ポートフォリオを転職活動で活かすコツ
ポートフォリオを転職活動で有効に活用するコツを紹介します。ポートフォリオを活かして、実績をアピールしましょう。
紙媒体とWebで用意する
ポートフォリオは、紙媒体とWebの両方で用意しましょう。紙媒体とWebのポートフォリオのメリット・デメリットは下表の通りです。
紙媒体 | Web | |
メリット |
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|
デメリット |
|
|
Webデザインなどを担うデザイナーの場合は、「アナログな紙媒体のポートフォリオは不要」と感じることもあるかもしれませんが、紙媒体でも用意しておくと安心です。
採用担当者が、デジタル領域に詳しくない可能性もあるからです。紙媒体のポートフォリオは、PCに不慣れな社長や人事役員へファイルで物理的に手渡しできます。メールで送れるようにPDF化しておくのもいいでしょう。
なお、紙媒体でA4サイズのポートフォリオを作成する場合、フォントサイズは11~12ptが見やすいとされています。
Webでポートフォリオサイトを作成する場合は、WordPressなどを使えばプログラミングの知識や学習不要で、オリジナルのものが作れます。
ポートフォリオの要点を説明する
面接でポートフォリオをもとにプレゼンテーションする際は、要点を話しましょう。全てを詳細に説明しようとすると、時間がかかりすぎてしまいます。
採用担当者に、スキルがアピールできる作品の要点を簡潔に伝え、質問を引きだして答える流れがベストです。会話形式のほうが相手の知りたいことに答えられますし、コミュニケーション能力や対応力も伝えやすくなります。
ポートフォリオ作成時の注意点
ポートフォリオを作成する際に注意点が2つあります。注意点をおさえて、リテラシーの高さをアピールしましょう。
著作権に気をつける
ポートフォリオを作成する際は、著作権に気をつけましょう。著作権とは、著作者が独占的に作品を利用できる権利です。作品を作ったのはあなたでも、一般的に著作権は企業に属します。
ポートフォリオに掲載する作品は、企業に掲載許可の確認をとっておきましょう。また、契約書などを確認すれば、ポートフォリオへの掲載が可能かどうかを判断できる場合もあります。
ポートフォリオに掲載後は、部外者に情報が漏れて、不正に使われないよう適切に管理するようにします。
守秘義務と情報漏えいに留意
職務に従事した方は、守秘義務があります。守秘義務とは、業務上・職務上で知りえた秘密を他に漏らさないという法律上の義務です。クライアントの案件を受けて作品を制作する場合は、NDA(秘密保持契約・機密保持契約)を交わし、秘密保持を約束して業務にあたることがほとんどです。
そのため、ポートフォリオで業務内容を記載する際は、NDAで定めた内容を厳守しなくてはいけません。ポートフォリオに載せられる内容のみ記載しましょう。
また、Webサイトに作品を載せる際は、サイトにパスワードをつけるなどして情報漏えいを防ぐよう管理する必要があります。Webサイトは、SNSなどで拡散される可能性もあるため、問題が起きないようより一層の注意を払って管理しましょう。
まとめ
クリエイティブ職種への転職では、ポートフォリオの提出は必須です。
ポートフォリオの出来は、就職や転職の選考通過の鍵を握っているといっても過言ではありません。今回ご紹介した「ポートフォリオに記載する5つの基本項目」や職種別の作成ポイントを意識し、魅力的なポートフォリオを作りましょう。
登録無料でポートフォリオを作成できるツールやテンプレートもあります。作るのが苦手な方やポートフォリオ作成未経験者、初心者の方はそういったものをダウンロードして利用するのもOKです。
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