【目次】
・AIの進化:「探る」ステージから「活用する」ステージへ
・点と点を結び、架け橋となる
・成果を上げるために効率性とイノベーションを追求する
・共に未来を切り開く
Key Takeaways
- 人工知能(AI)を取り入れたサービスの開発から、責任あるAIの活用の推進や業務の効率化まで、リーダーたちはAIの可能性を追求している
- デザインとビジネス、ブランドとユーザーエクスペリエンス(UX)、サイロ化された顧客とのタッチポイントなど、さまざまな点と点をつなぐことが求められている
- リーダーたちは、対応速度や優先順位づけの向上、成果を出すための新しい働き方など効率性を重視している
- 効率化と並行して、課題の特定から新たな価値の創造まで、デザインの真の力を引き出すことを最優先事項としている
昨年、多くのグローバル企業が社内のデザイン機能が持つ可能性に対して疑問を抱き、コスト削減と生産性向上のために新たなテクノロジーに焦点を移しました。それに伴い、デザインリーダーを含む何千人もの従業員が解雇されたのです。
このような企業の動きは、人間中心主義に反するビジネスがもたらす悪影響として、デザインリーダーたちから反発を呼びました。そのため、先日、弊社のInsideOutデザインリーダー コミュニティよりシニアリーダーたちを集めて今年の最優先事項を聞いたところ、「テクノロジー」と「ビジネス」、「人間らしさ」というテーマが混在していたことは、当然と言えるのかもしれません。
今回は、私たちが話し合った優先事項について、ご紹介します。
AIの進化:「探る」ステージから「活用する」ステージへ
「我々はどうAIを使うべきなのか」という困惑や焦りとともに無作為に新しいテクノロジーを探求していた当初に比べ、今のクリエイティブリーダーたちは、ソリューションとしてではなくツールとしてAIをデザインのワークフローに組み込むことに焦点を移しています。彼らはまた、アイデア出しや改善作業だけでなく、効率化のためにAIを積極的に活用しています。
AIの活用に好意的な業界では、シニアリーダーたちは人工知能を顧客のエクスペリエンスに関わる部分に取り入れることで、人手が不足しているチームがコストと労力を必要とする課題を解決できるよう、目指しています。彼らはエージェンティックAIを導入することで、デザインチームがビジネスの課題により集中し、基本的な制作作業にあまり時間を割かないようにする方法を追求しています。
最も重要なことは、シニアリーダーたちが、責任あるAI活用の番人としての役割を真剣に受け止め、気を付けるべき点についてパートナーを教育する方法を模索し、懸念すべき領域を積極的に特定し、意図しない結果を避けるためにチェックを進めているということです。あるリーダーは、AIを使用して自身の仕事を精査し、その後に人間がレビューを行うことで、顧客に届く前に目に見えない長期的な影響を特定するスピードを速めることができると指摘していました。
点と点を結び、架け橋となる
度重なる組織改革によりサイロ化した部門は、会社やチーム、目的に対する意識が薄れてきています。シニアリーダーは、社員が重要な課題において意識を合わせるためには、点と点をつなぐことが重要であることを理解しています。
私たちのラウンドテーブルに参加したリーダーたちは、デザインとビジネスという概念や、ブランドとUXという機能、製品ラインとサービス全体におけるカスタマーエクスペリエンスなどの間に溝があることに気づいており、今年はその溝を埋めたいと話していました。まだ終わりは見えていませんが、彼らはすでに問題解決のためのパートナーとして、デザインの価値を示す新たな方法を考え始めており、ビジネスゴールとデータをプロセスに組み込み、デザインチームがどのように会社に利益をもたらすかを再定義しています。
企業による人員削減が見られる中、ブランドやUXのような重要な機能が組織内でどのように位置づけられるべきかという混乱がおこっており、少ないリソースでどう対応できるか、チーム間のコラボレーションが試されています。企業がより多くの収益を追求したり、リブランディングや新製品の発表などを進めたりする中で、競合と差別化を図り、価値の定常を通じて顧客にシームレスな体験を提供するためのコミュニケーションと連携が、急務となっているのです。
厄介な問題を解決し、そのために人々をまとめることに長けているデザインリーダーたちは、この急務に果敢に立ち向かっています。
成果を上げるために効率性とイノベーションを追求する
リソースの増減に伴い、企業は効率性を重視する傾向から、革新性を重視する傾向へと変わり、また元に戻ってきている状況が伺えます。しかし、今日の不安定なビジネス環境では、企業が事業を継続し、競争優位性を保つためには、節約と投資の両方が求められています。
リーダーたちはそれを理解し、人材、ツール、プロセスを通じてインパクトをもたらすことを考えています。あるリーダーは、迅速な製品企画システムを導入し、検討プロセスを迅速化し、収益を生み出す機会をより早く、より低コストで実現しています。また、戦略部と緊密に連携して新たな領域を開拓し、クリエイティブ思考を駆使して低コストでインパクトの大きい解決策を導き出しているリーダーもいます。
イノベーションに対して戦略的に取り組むには、新しい仕事のやり方を取り入れることも必要です。あるリーダーは、全社的にイノベーション・スプリント(短期開発)を全社的に取り入れ、早期にデザイン組織を関与させ、「考えるために作る」プロセスを活用してアイデアを迅速に試作・テストすることを目指しています。このアジャイルアプローチによって、チームは迅速に反復作業を行い、ソリューションを改良することができ、学習効果を最大化し、変革のペースを加速させることができるのです。デザインリーダーが付加価値を幅広く提供できる一つの方法でもあります。
共に未来を切り開く
上記で概説した、責任あるAIの活用や、組織全体の連携を促進し、効率性とイノベーションを戦略的に最大化して影響力を推進するという優先事項は、2025年にクリエイティブとデザイン組織のリーダーに待ち受けるハードルとチャンスを表しています。前途は不透明かもしれませんが、これらの問題はひとりで取り組むには大きすぎることは明らかです。
私たちは、前例のないグローバルな課題に直面しているシニアリーダーたちが、コミュニティの力を通じて解決策を導き出すことができると考え、ともに問題を解決するために力を合わせて取り組むことが大切だと感じています。今年こそ、企業、チーム、そしてリーダーたちが成功を分かち合うための方法を見出すことができるのではないでしょうか。
「InsideOut」は、エイクエントが運営する、先進的なブランドのインハウスチームのシニアデザイン、エクスペリエンス、クリエイティブ・オペレーション・リーダーが集まるコミュニティです。メンバーの学びと成長をサポートするため、小規模なラウンドテーブルを開催しています。
著者について

Susie Hall(スージー・ホール)
コミュニティ&カスタマーエンゲージメント担当プレジデント
スージー・ホールは、Aquentのコミュニティ&カスタマーエンゲージメント担当プレジデントです。1999年にインタラクティブ・エージェントとしてAquentに入社したのち、21年にわたり、地域のチームを率い、強固なインタラクティブデザイン事業を展開。2011年には、代理店や中堅企業の急速に進化するデジタル人材ニーズに対応するため、Vitamin Tブランドを立ち上げました。ベスト・オブ・スタッフィング・サービス賞を15回受賞し、豊富な人脈を築いてきた彼女は、クリエイティブ、デザイン、リーダーシップへの深い理解を持ち合わせています。2019年、ホールはAquentのInsideOut デザインリーダーシップコミュニティを立ち上げ、現実的な課題に基づくピアディスカッションを通じて、有名ブランドのシニアインハウスデザイン、エクスペリエンス、オペレーションリーダーのつながりを醸成しています。
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